暁 〜小説投稿サイト〜
戦国異伝
第百三十二話 越前攻めその四
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 それで織田家が多く持つ鉄砲はというのだ。
「驚かせもします」
「驚かせ怯ませつつじゃな」
「城を攻めていきましょう」
「よし、それではな」
「金ヶ崎を瞬く間に陥とせばです」
 かなり大きいというのだ。
「では」
「うむ、それではな」
 柴田は生駒のその言葉に大きく頷いた、そしてだった。
 越前の領内に入った、するとだった。
 敵はいなかった、それどころか織田家の大軍が来ると聞いてすぐにだった。
「十万の兵には勝てぬぞ」
「うむ、数が多過ぎる」
「こちらはかき集めても二万じゃ」
「まして向こうは徳川の一万もおるそうではないか」
「とても相手にならぬ」
「これでは戦っても無駄じゃ」
 こう言い合いそしてだった。
「宗滴様が来られてからじゃな」
「うむ、あの方ならば勝てるわ」
「しかし今は無理じゃ」
「逃げるべきじゃな」
「金ヶ崎までな」
 彼等はその支城も砦も捨てて金ヶ崎まで一目散に逃げた、そこに数千の兵が集まることになった。城や砦は全て織田家が占拠していった。
 信長は先陣からその報を聞き本陣において確かな笑みで言った。
「金ヶ崎までは楽にいけるな」
「それからでありますな」
「うむ、金ヶ崎を陥とせばな」
 それからだとだ、信長は明智に応えて言う。
「そこから一乗谷まで一気に進める」
「では越前自体も」
「いや、その頃になれば必ず宗滴殿が出て来られる」
 朝倉家の危機、それ故にだというのだ。
「流石に一族の居城が陥ちてはどうにももならぬ」
「それ故にですな」
「うむ、必ずな」
「しかし今宗滴殿はお身体が優れぬと聞いていますが」
 だから出陣もしていない、そういうことだった。
「それでもですか」
「人は無理をせねばならぬ時もあるからな」
「そしてそれがですか」
「朝倉家にとっては一乗谷を囲まれた時じゃ」
 まさにその時だというのだ。
「だからじゃ」
「ではその時にですか」
「越前はまさにその時が戦じゃ」
 正念場のそれだというのだ。
「だからその時は例えどの様な状況でも出て来られる」
「宗滴殿が出て来られるとなると」
 そのことを思いだった、明智はその顔を曇らせて述べた。
「辛い戦になりますな」
「確かにな。しかしじゃ」
「それでもでありますか」
「ここは勝ちたいのう」
 こう言ったのである。
「是非な」
「宗滴殿に」
「うむ、あの御仁はわしがうつけと呼ばれた頃から随分と高く買っておられたとのことじゃ」
 信長のその脂質を見抜いてだ、宗滴は周りが何と言おうが信長はやがて天下にその名を轟かせる傑物だと言っていたのだ。
 それは今もだ、信長はそのことを知っていて言うのだ。
「だからじゃ」
「あの方とですか」
「勝つぞ」
 戦をしてそしてだ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ