第三十五話 座敷わらしその二
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「お池には河童さん達がいるけれどね」
「それでガジュマルの木にはキジムナーさんですね」
「あの人達がいますけれど」
彼等はいる、しかし小豆洗いはというのだ。
「あの人はこの学園には」
「おられないですよね」
「私も聞いたことがないわ」
茉莉也は首を捻って述べた。
「ここで生まれ育ってきてるけれど」
「そうですか、小豆洗いさんはですか」
「御存知ないですか」
「そもそも姿が見えない妖怪だし」
このことが一番大きかった、小豆洗いは目に見えずその小豆を洗う音と喋る声だけが聴こえるだけなのだ。
「音だけだと行かないとわからないでしょ、逆に見えるだけでもわからないでしょ」
「はい、見えるだけだと見間違いって思いますから」
愛実が言う、実際にUMAの話でその存在が確認されにくいのは目撃だけでそこに音がない場合も多いからだ、若しくは音だけであるからだ。
「だから小豆洗いさんはですか」
「この学園にいるかどうかも」
「わからないのよ。あの妖怪さんは音独特だけれどね」
その小豆を洗う音がというのだ、そしてこの妖怪はそれだけではない。
「喋るから」
「小豆洗うか人取って食うか、ですよね」
「そう言うんですよね」
「そう、見えないにしてもその声も音も聞いたことないから」
だからだというのだ。
「いないんじゃないかしら、この学園には」
「そうなんですね、小豆洗いさんは」
「この学園には」
「そうかもね。とにかく見えない妖怪さんもいてね」
「そうした妖怪さんに会うにはですね」
「やっぱり色々なことが必要なんですね」
二人もここで納得した、三人で夜の学園の中を進みながら。
「そういうことですね」
「つまりは」
「そうよ、この眼鏡とヘッドホンね」
今の具体的な色々なこととはこの二つだ。
「この二つがあれば懐かしい娘に出会えるわね」
「懐かしい?あっ、そうですね」
愛実は茉莉也の話を聞いて最初はどういうことかと思ったがすぐにわかった。それで頷いて言ったのだった、
「先輩の場合は」
「そう、座敷わらしちゃんお友達だったから」
大人にまる前の話である。
「だからね」
「それで、ですよね」
「そうよ、もう六年かしら」
学生の生活ではその歳月は長い、学生と大人の大きな違いの一つだ。
「あっ、五年いややっぱり六年ね」
「五年生の時ですよね、先輩お赤飯食べたの」
「そう、だから」
今茉莉也は十七歳だ、小学五年は十一歳だ。
「六年ね」
「そうなりますね」
「六年ぶりよ、懐かしいわよ」
「そうなるんですね」
「六年は長いわよ」
その学生の歳月から愛実だけでなく聖花にも言う。
「懐かしいわよ」
「そういえば私達って知り合ってからね」
「かなり経つわね」
二人は歩
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