第一幕その四
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葱を入れて」
「あったかいスープをな」
「後は子供達が野苺か何かを持って帰るわ」
「そういえば」
お父さんはそれを聞いてふと気付きました。
「ヘンゼルとグレーテルは何処なんだい?」
「悪さをしたんで追い出したのよ」
お母さんはそう言いました。
「悪さをかい」
「そうよ。ミルクの上のクリームを舐めていたのよ」
「何だ、そんなことか」
食べ物が一杯の今お父さんにとってはそれは大したことには思えませんでした。
「そんなことならいいじゃないか」
「それで箒で折檻しようとしたら」
「また極端だな」
「今思えばそうだけど」
お母さんもお母さんで腹ペコでそのうえ疲れていて気が立っていたのです。それでついついカッとなってしまったのです。人間誰しもこんな時があります。
「それでその箒で」
「壺をミルクごとってわけだな」
「ええ」
「まあ仕方ないな」
お父さんはおおらかにそれを許しました。
「つまみ食いでそんなに怒ることもないさ。それにミルクったって貰ったものじゃないか」
「ええ」
実はあのミルクは村の人からのおすそ分けでした。それも結構日にちが経っていたのである。
「壺だってどのみちそろそろ駄目になってきていたし」
「買い換えればいいわね」
「そうさ、お金も今はあるしな」
お父さんは財布も取り出しました。
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