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ファイアーエムブレム〜ユグドラル動乱時代に転生〜【外伝】
とある騎士の昔語り---その1---
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「あー、そうだよ。 騎・士・団・長・ど・の・!」
「……参ったなぁ。 改めてそう言われると俺もよく知らんなぁ」
「なんだいそりゃぁ、じゃぁ……そうだ、お前自身の昔話をしておくれよ、ウィラーラフも知りたくはないかい? 我が国が誇る騎士団長ヴォルツ卿の立身出世物語ってやつを……ね!」
……ユグドラル大陸の西方、アグストリア諸国連合で彼は生まれ落ちた。
とりたてて裕福でも無ければ貧しくも無く、質実剛健な家風の騎士家の三男としての立場が彼を鍛えることとなった。
この時代のアグストリアに限らず多くの封建領主は長子相続を是とし、長子以外の男子には受け継げる所領などは望むべくもなく、自身の力で立ち位置を勝ち取るか、郎党や家人のような立場となって長兄に仕えるより無かったからだ。 もっとも、不慮の出来事で兄が亡くなることがあったり、男子の生まれぬ他家の婿養子となるなどの事態で一族の長となりおおせることもあるのだが。
とはいえ、ヴォルツにとってそんな天佑には恵まれず、長兄の家人の如き立場に甘んじることを耐えられない彼の誇りが仕官を目指させた。所領もちの騎士と異なり、国王をはじめとした有力者に俸給のもと一身限り雇用される直臣、例えば近衛騎士という存在は彼のような相続順位劣位の騎士の子弟にとっては数少ない希望であった。
彼の父や兄達はその意を汲み、幼き頃より武芸の稽古の他、算術や読み書きを習わせた。
時が満ち、彼が王都を目指す際には紹介状や武具に馬具、駿馬とまでは言えぬが従順で利口な栗毛の牡馬を用意してくれさえもした。
実のところ彼は兄二人よりも武芸の才に恵まれ、彼の父はアグスティ王家の近衛兵団に彼が採用されることに疑いを持ってはいなかった。 むしろ王家との繋がりを彼を通じて設けようとの計算も働かせていたのだ。
二君に仕えぬなどという言葉は美しくもあるが、目端の効く土豪や小規模領主などは複数のあるじに仕えることで、より上位の封建領主の気まぐれから己の一族の安全を担保することもままあった。 時として、そのあるじ同士での諍いに下位の封建領主は巻き込まれ悲劇を呼ぶこともあるのだが……
王都アグスティへと登ったヴォルツは父の旧知の者に紹介状と口効きの為の砂金袋を委ね、あとは運を天に任せた。 仮に十分な実力を持っていても、それを評価してもらえる舞台に上がることが出来ない者はそれこそ掃いて捨てるほど居るという現実を父や兄から幾度か語られていたからである。 やがて推薦状を得られた彼だったが、賢王と呼ばれていたイムカ王の治世に於いてそれは余り意味の大きな物では無かったと知り、体よくカネを巻き上げられたのだと知ったのはずっと後の事であった。
そうとは知らず受けた技量検分の結
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