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銀色の魔法少女
第十一話 温泉宿での決闘
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 夜、温泉で騒いだり、卓球で死闘を繰り広げたりしたアリサとすずかが熟睡していた頃。

 例のごとくグリムゲルデにすり代わり、遼はジュエルシードがある場所へと歩いていた。

 一応バリアジャケットをまとい、髪は魔法で黒く染めている。

 クリムが一緒にいないのは、グリムゲルデは一体のみでクリムの分の替え玉が用意できなかったり、保護者同士の会話がはずんだりといろいろと事情が重なったためである。

 そうして彼女は目的の場所へ到着する。

 川を渡り、茂みを探す。

「見つけた」

 数分後、彼女はそれを手にする。 

 幸い、ジュエルシードは発動前だったので封印するのは簡単だった。

 しかし、彼女が魔法を使ったことで、招かれざる客が姿を現した。

「ちっ! 遅かったか!」

 犬耳を生やした女性、使い魔のアルフとその主、フェイト・テスタロッサだ。

「主らも来ておったかのか」

 遼は振り向かず、それをポケットに入れる。

「それを渡してください」

 フェイトはバルディッシュの刃を遼に向ける。

「断ったら?」

「力づくで奪い取ります」

 遼は剣を抜き、フェイトに向かい合う。

「なら、やってみるといい! 小娘!」



side フェイト

 それかの戦いはまさに互角だった。

 私とアルフの連携をかわし、彼は重い一撃を私たちに与えてくる。

 私たちはそれを受け流して、次の一撃を撃つ。

 そのようなことが何度も繰り返された。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「くっそ、何なんだいあいつは!」

 アルフが焦るのも無理はない。

 二対一だというのに、彼に隙を作ることすらできていない。

 レイの話だと、魔力量は私より下らしいけど、そんなの何の問題にもならないくらい強い。

 いや、それよりも、

「……どういうことですか?」

「ん? 何がじゃ?」

 言葉が足りなかったようで、彼には伝わらず首をかしげる。

「どうして魔法を使わない、ということです」

 正確には攻撃魔法だが。

 彼は私と初めて戦った時も、斬撃のみで、他の攻撃魔法を一切使ってはこなかった。

 今もそうだ。

 全て剣撃のみで対応している。

 普通の魔導師なら、こんな戦法はありえない。

「ああ、なんだそんなことか」

 そんなこと、彼はそう言った。

 つまり、彼にとって他の魔法を使わないことは全くもってどうでもいいことということだ。

「簡単な話、我は遠距離魔法が苦手なだけだ、そんなことをするなら近づいて斬った方が早い」

「……それを私に話してしまってよかったのですか?」

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