幕間+慧卓:童貞 その2 ※エロ注意
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。ちょっとばかし心にイラっとくるものを抱えても、文句を言われる筋合いは無い筈であった。
ミシェルは世界を呪うかのような悔しげな瞳を天井に向けた。
「ああ・・・金が欲しい。金の力で娼婦をまとめ買いして、精力剤飲みまくってあふんあふんいわせてやりてぇ。・・・酒も飲みてぇ」
「欲望に忠実だけど、ちょっと酷い願望ですね」
「お前はまだ餓鬼だから分からないんだろうな。俺くらいに年取ってみろ。俺今年で25だけどよ、彼女もいねぇ金もいねぇおまけに親も生きちゃいねぇ。そんな人生で愉しみを探すんだぜ?気軽で短絡的なもんを求めるのは当然の帰結だって、思えてくるから」
「・・・世知辛いですね」
「同情するなよ、泣けるからさ。・・・畜生」
「ミシェル。バッジのピンをくれ。後はつけるだけだから」
言葉通りにピンを手渡すと、ミシェルはやきもきとした思いを長い溜息に変えて宙に吐き出した。パックはそんな同居人の鬱屈さには見向きもせず、只管バッジ製作に取り掛かっている。ふと、彼の雀斑顔が慧卓を見遣った。
「ケイタクもいるか?コーデリア様のバッジ」
「い、いや、俺はいいけど」
「そっか。ならいいや」
「畜生っ!!酒でも飲まねぇとやってらんねぇ!!パック!飲むぞ!」
「よしきた。見回りが来る前に開けちまうぞ」
「・・・ほんと、こいつら自由だなぁ」
壁の歪みに指を入れて隠し戸を開き、そこから小さな酒瓶を取り出すミシェルらを見て、慧卓はその立ち直りの速さに呆れるやら何やらで圧倒されてしまった。ぐびぐびとラッパ飲みしたミシェルが、無言の圧力を滲ませながら慧卓に酒瓶を渡す。これは断ったら殴られる流れだと悟ると、慧卓も気を引き締めて酒瓶を煽った。安っぽい葡萄の香りが喉を焼くかのようで、胃袋や身体を温め始める。
こうして慧卓はミシェルとパックと酒と共に一夜を明かし、翌日の朝、酷い頭痛を抱えながら王宮へと戻る事となったのだ。
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