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王道を走れば:幻想にて
幕間+慧卓:童貞 その1 ※エロ注意
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。だから寝れないっていうのも、強ち悪い状況じゃ・・・」

 だが努力が斜め上の方角へと突き刺さり、深読み次第では告白にも似た言葉がつい滑ってしまい、余計に沈黙が走ってしまう。慧卓は妙な気まずさを覚えて閉口し、実晴は僅かに瞠目して硬直する。

(い、今のって・・・そうだよね?気持ちの端っこだけど、それでもそう想ってくれているんだよね、慧卓?)

 心に湧いた期待が脈動を早めさせ、頬の紅潮の手助けとなる。そっとパジャマの胸の辺りを握り締めて、実晴は心の決意をもっと固いものとする。

「あっ、あのさ、慧卓!」
「っ、うん?」
「私もちょっと疲れたのかな、眠気が無いからさ、独り言でも言おうと思うんだっ。だから聞き逃してね」
「普通、疲れてたら眠くなるだろ?」
「良いから聞いてなさいっ!」

 実晴は語気強めに言い放ち、一つ喉の調子を整える。そしてまるで御伽噺を聞かせるかのような口振りで、しかし詩を朗読するかのような静けさを保って言葉を紡いでいく。

「ある所にね、女の子が一人、世間の波から外れるような古い建物で暮らしてたの。女の子の周りでは日々何かが新しく変わるのに、女の子の家は何時も変わらず。徐々に女の子は不満を覚えていった」
「(あぁ・・・分かるなその気持ち。成長すればするほど、そういうのに敏感になるし)」
「ある時女の子は、高校に上がったのを切欠に、自分にチャレンジする気持ち一心で街の境を越えて、とてもきらきらとした街中で働く事にしたの。働く場所は街では異質な存在だったけど、女の子にとってはとても新鮮な香りがした」

 実晴の言葉に、慧卓は何処か心当たりを見出す。だがそれを口にする事無く、実晴の言葉を聴いていく。

「でも街の煌めきがどこか怖ろしいものを隠しているような気がして、女の子は怖くなり、道の暗がりに逃げ込んだ。そんな時に出会った優しい女性が言ったの。『自分の店で働かないかって』。そこで女の子は自分のやる気を取り戻して、まだ見ぬ自分にチャレンジする事にした。そこで女の子は・・・恋をしたの。そこで誠実に働いていた一人の男子に。ほとんど、一目惚れに近かったな」

 声が僅かに震える。慧卓がちらと後ろを振り返ってみると、実晴は耳元を赤く染めていた。

「その人の一生懸命な働きぶりや、時折混ぜる冗句なんかが好きになって、それで次はその人との会話が好きになって・・・。それでそして、想いが募って告白したら、相手も自分の事が好きだったらしくてて吃驚。そして女の子は自分の家に、男の子を招くのでした。以上、終わり」
「・・・随分と長い独り言だったな」
「悪い?」
「いや別に。寧ろ感謝したい」
「へ?なんでよ」
「・・・何処にでもいる女の子にも、そういう気持ちを持ってる確証が漸く取れたから、さ」

 慧卓は
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