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王道を走れば:幻想にて
幕間+慧卓:童貞 その1 ※エロ注意
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らね?先をやる楽しみが無くなっちゃうから!」
「えっ!?あ、あの、実晴・・・」

 実晴は軽やかな足取りで部屋から消えて行く。そして数秒の後、廊下を挟んだ向かい側の部屋から炊事の音が響き始めた。どうやら本当に台所で夕飯の準備を始めたらしい。
 慧卓は残念な思いで一杯となる。バイトで彼女と知り合って恋人関係となるに至り、今日は初めて彼女の家に招かれたのだ。それがどうだ。遥々市の境を越えてやる事といえば、自分が推奨したゲームを彼女の代わりに進める事なのだ。

「・・・女の子の家に来れて嬉しいのに、なんで小難しい戦略ゲームなのよ?」
『お早う御座います、閣下!人民は閣下の事を疎ましく思っております』
「黙れ髭伍長」

 慧卓は突っ込みをしつつもコントローラを握り締め、実晴から指示されたステージの攻略を始めていった。
 ちなみに歴史のタブーがタブーでなくなったこの時代、髭の伍長は歴戦プレイヤーにとって最早愛される馬鹿キャラである。捏造脚色何でもありの二次元ではそれが更に顕著だ。髭が付け髭だったり、演説に熱が篭る余り自分の足を踏んづけたり、画家として大成してしまったり等。だがそれ以上に、ジュガシヴィリ的な書記長がロリキャラ化し、嵐的な粛★清が異星人制圧のための義行となったと捏造された日、慧卓は己の価値観が一つ崩壊したのが真新しい。
 そうこうする内に早くも三十分も経過してしまい、慧卓はてきぱきとステージクリアを果たす。敵勢力を一つ滅亡させるだけの簡単な作業だ。実晴にとっては難問かもしれないが、此の手のゲームに慣れ親しんでいる慧卓にとってみればお茶の子さいさいといった感じである。

「クリアしといたぞー。ボーナス選択は保留しといたからなー」
「おっ、流石経験者ね、見事な早業!じゃぁついでに料理も手伝ってー」
「なんか便利屋になってないか、俺」

 ゲームとテレビを消して、慧卓は台所へと向かう。エプロンをつけて油物を揚げている実晴が見えた。直向な後姿に思わずそそるものがあったが、おくびにも出さず慧卓は問う。

「どうすればいいんだ?」
「そうね、今丁度油物を揚げ終わったから・・・じゃぁご飯をつけて、お味噌汁をよそってね、御願い」
「なぁ、実晴」
「ん〜、何?」
「俺、何のために呼ばれたんだかまだ分からんのだが。もしかして、ゲーム進めてお前の料理を手伝うためか?」
「・・・はぁ、この鈍感」

 小言を零し、実晴は今し方揚陸した油物を見せた。こんがりと狐色に染まったそれは、見間違いがなければ、ヒレカツの外見とそっくりであった。

「ヒレカツ的な何か?」
「そのまんまヒレカツですよ、ヒレカツ。ざっくりジューシーな料理です」
「そりゃ分かるよ・・・何度も見た事あるし」
「ふーん?どうせ慧卓の事だから、家に帰っても『面
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