幕間+アリッサ:酔いどれの悪夢 その2
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らの報われなさに悲哀を感じずにはいられない。今は彼女にとってそういう気分であったのだ。
「何しているんですか、アリッサさん。そんな所で」
「っ・・・け、ケイタク?」
聞き覚えのある声に、アリッサは慌てて目を拭いて其方を見遣る。宿屋の入口に驚いたような表情を見せる、慧卓が立っていた。どうやら彷徨っているうちに自分達が泊まっている宿に辿り着いたようだ。随分と長い寄り道だったような気がする。
近付いてくる彼に向かってアリッサは尋ねた。
「お前、何でここにいるんだ?コーデリア様と一緒の筈じゃ・・・」
「風に当たってたんです。今は王女様が就寝されているんですけど、それまでは礼儀所作についてのレッスンを受けていたんです。そんで俺も寝ようかなぁって思ってたんですけど、なんか目が妙に冴えてて寝付けないんですよ。それで夜風に当たろうって宿屋の入口の前に立っていたら、すぐ傍で泣き声が聞こえまして。・・・もしかして泣いていたんですか?」
「っ、そ、そんな訳ないだろう!?馬鹿じゃないのかっ!?」
「ば、馬鹿って・・・うわ、なんの臭いだこれ・・・酒か?」
慧卓は鼻をすんすんと鳴らして訝しげにアリッサを見遣る。己の嫌な部分に目を向けられたようで、アリッサは羞恥から顔を逸らす。夜風のせいで自分の頬が熱くなっている事、そして身体に酒気が帯びているのを如実に知られたのが、また恥ずかしい所であった。
「アリッサさん、随分御酒飲んだでしょう?ってか顔赤いですって。今から水を持ってきますから、中に入って下さい」
「で、でも、私にはやらなければならない事があるんだぁっ。だから動かない!」
「動かないって・・・ほら、行きますよ!」
「ふざけるなぁ!どうしても行くんだったら、お前が私の代わりに動けぇ!」
「はぁ・・・酔っ払いめ。どうすればいいんですか?」
運び出すのを諦めて、慧卓はアリッサに視線を合わせるようにしゃがみこむ。アリッサは先程までの威勢とは対照的に、言葉を濁らせながらも続けた。
「あのな、風吹村を出た後、バッジを貰っただろ?」
「ええ。パックさんが作ったやつですよね?それがどうしたんですか?」
「さっき、造営官の所から帰って来る時にな・・・無くしてしまったんだ」
「ああ・・・大変な事になっていますね。でも、バッジはそんなに大事なものなんですか?またパックさんに頼めばいいじゃないですか、新しく作ってくれって」
「駄目なんだぁ!私はパックのをほとんど奪ってしまった形だろ?それにパック、あれを作るのに結構苦労しているみたいだし、そんなにおいそれと頼めないんだ。それに、パック以外にもミシェルや、もしかしたらハボックも欲しがるがもしれないだろ?だからそいつらの横を割って入って頼むなんて出来ないんだ!
それに、貰って数日な
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