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王道を走れば:幻想にて
幕間+アリッサ:酔いどれの悪夢 その2
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いましたか!何かご質問がありましたら、喜んで承りましょう!』
「先程登壇された男と話がある!大事な用なんだ、すぐに話したい!」
『ああ!個人的な御話ですか!ではどうぞ此方へ来て下さい!舞台の上手の方から、登壇者用の控室へと繋がっております!そちらでゆっくりと、御話下さいませ!』
「寛大な処置に、感謝する!」

 彼女は堂々とした姿で会場を縦断し、司会のにやけた笑みを受けながら舞台の上手の方へと上がる。暗幕の後ろにあった階段を下っていくと、背後からまた拍手が響き渡り、論壇の再開を知らせてきた。
 細長い通路を進んでいくと、『控室』という看板を打ち付けた扉が目に入る。アリッサは勇んでその扉を開けて、中へと入る。正面奥の壁に燭台が掛かって火を燈しているだけで、その部屋には誰もいなかった。暗いせいで見えないだけなのではと思ったが、どこを見渡しても誰もいない。

「・・・どういう事だ。誰もいないぞ」
「誰も居なくて当然だ。馬鹿な女め」

 背後から声が響き、扉がぎぃっと鳴って閉まった。振り向くと先程の司会の男がにやけながら立っており、また大柄な男を二人引き連れていた。どうにも友好的な雰囲気ではない。

「お前が会員証や紹介状も無しに入って来たのは衛兵の報告を受けて把握済みだ。さぁ、きりきり吐いてもらおうか。お前は一体何の目的でこの館に立ち入ったのだ」
「・・・うっぷ。何の話だ」
「あくまでとぼけるか!下手な芝居など通用せんぞ!お前は我等商人ギルドの裏の舞台、『路地の論壇』へと入ったのだ!何の疚しい思いもなしに此処に入るなど、考えられん!一体何が目的だ!ギルドの弱みを握って、一体何をする気なのだ!」
「馬鹿な!私はそんな、おえっ、大それた事など考えておらん!私はただ、あの男に用があって、うえ・・・」
「おのれっ、どこまでもふざける女め!お前等、やってやれ!」

 大柄な男達がゆっくりと迫ってくる。アリッサは地の利が自分に無い事を悟ると徐々に足を後退させていき、いきなり瞳を大きく開いて口元を両手で抑え、俄かに前のめりとなる。暗がりと二つの肉体が壁となっているせいで彼女の変化がよく見えぬ司会の男は、強気な態度で言ってのける。

「ふん、観念しろ。こいつらは元は山賊として腕を鳴らした強者だ!貴様のような軟弱な女だと、剣の錆びにしてくれーーー」
「おえええっっっっ!!!」
『うおおおっ!?』

 男共が全員驚愕する。秀麗な美人が身体を丸めて、いけないものを吐いてしまっているのだ。暗闇と肉壁のせいで肝心のそれが直視できないのがせめてもの幸いであった。そういえば傍を通った時、独特の酒臭さが鼻に突いたなと、司会の男は思い返した。
 アリッサがゆらりと頭を上げた。涎らしきものが顎についてきらきらと光っている。それがまるで歯茎から伸びる
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