第二幕その六
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第二幕その六
「それで魔女はどうなったんだ?」
「あんた達が大丈夫なのを見ると」
「そうさ、やっつけたんだ」
「やっつけた!?」
「魔女を!?」
「そうさ、僕達がね」
「竈の中に放り込んでやったのよ」
二人は胸を張って言いました。お父さんとお母さんはそれを聞いてもうびっくりです。あんまり驚いたので顎が外れそうになっていました。
「魔女をかい」
「何ともそりゃ」
「それで今まで魔女に食べられていた子供達の呪いも解けたんだ」
「この子達がそうなのか」
そのことを二人に対して尋ねるのでした。
「そうよ。それで皆で楽しくお菓子の家を食べていたのよ」
「そうか、魔女はもういないのか」
「あんた達のおかげで」
「これが天罰ってやつだな」
そこまで聞いて感心至極です。
「そうね、悪い魔女はやっつけられて子供達が助かって」
「神様がそうしたんだ」
「悪い奴をやっつけてそして皆で楽しく遊べって。だから」
「そうか」
「全部神様のお導きね」
「そうだよ」
お母さんの言葉に頷いて二人は同時に言うのでした。
「夢の中に出て来た天使様に導かれて」
「こうなったんだよな」
「うん」
二人は明るい笑顔で頷き合います。そこへ子供達のうちの何人かが家の中から何か大きなお菓子を持って来ました。
「おい皆、いいものがあったぞ」
「何だい?」
「ほら、これ」
「生姜のケーキ」
「魔女の大好物よね」
「そうさ、魔女さ」
子供達の中の一人が言いました。
「これは魔女なんだよ」
「魔女って」
「まさか」
「そうさ、これは魔女のケーキなんだ」
「あの魔女は竈の中で生姜のケーキになっていたんだよ」
実に楽しそうな言葉です。
「ほら、アーモンドやナッツをたっぷりとつけて」
「美味しそうなお菓子になっているよ」
「お菓子に」
「美味しそうなお菓子に」
「ねえ、食べない!?」
グレーテルが皆に提案しました。
「この生姜のケーキ。とても美味しそうよ」
「けれどこれて魔女だよ」
「食べても大丈夫なの?」
「大丈夫よ」
お母さんがここで皆に言いました。
「このケーキを食べるとね、魔女の悪い心が清められるの?」
「そうなの?」
「そして悪い魔女はケーキがなくなった時に本来の姿に戻るのよ。いい心を持った優しい魔女にね。昔お母さんがお母さんのお婆さんに言われたことよ。悪い魔女はその魔法で姿を変えられて、罪を償ったらいい魔女になるってね」
「いい魔女になるのね?」
「そうよ、それからまた皆でお祝いしましょう」
「うん」
二人はお母さんの言葉に頷きました。
「このお菓子を食べながら」
「お菓子を食べながら」
「悪い魔女でも許して下さり、いい魔女にして下さる神の御心に感謝して」
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