Chapter-5 第17話
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」
「ええ……あの、行かれるなら気をつけてください。あの魔物は……きっと…」
若い男は汗を流し体を震わせた。恐ろしい魔物だということが、ハルカには分かった。
だからといって、ハルカは全く怯むことはなった。
(僕も全力で相手しないと。……水鏡の盾は、必要かもしれない)
ハルカは若い男に礼を言うと、武具屋をさっさと後にした。
しばらく歩いていると、シンプルな造りの建物が見えた。
中に入ると、いくつものお墓が並んでいた。
「あら、旅人さんですか…?」
そこには一人の若いシスターが座っていた。お祈りの最中だったらしい。
「お邪魔してすいません。ここは……」
「ええ。魔物に襲われて亡くなったものたちのお墓です。ここ周辺の魔物は特に強いですから……不用意に外に出て、襲われてしまったのでしょう……中には、メルキドのものではない方のお墓もあるのです。旅人さん、お願いがあります。この方達の為に祈ってくださいませんか?」
ハルカは頷いた。
「分かりました。お祈りします」
ハルカは、ある人のお墓の前に座り、祈った。シスターのお手伝い、といったところである。
「優しいお方ですのね。ここを訪れる旅人は少しだけお祈りして去っていくのです。しかしあなたは私の仕事のお手伝いをしてくれました」
「この方達ももっと生きたかったでしょうね。僕……実はドムドーラの生まれなんです。ドムドーラの人たちは……もっと生きたかったのに、竜王軍に襲われ……。僕の両親も……」
ハルカは急に心苦しくなった。辛いことを思い出したのだ。ある時、遺された実母の手紙を改めて読んで、涙したこともあった。一人の時にである。
「まあ……お辛い経験をなされているのですね。あなたにも神、そしてルビス様のご加護がありますように」
シスターはハルカのために十字をきってお祈りをしてくれた。
ハルカは心苦しさが少し、取れた気がした。
「ありがとうございます。僕はまた、旅に出ます」
「そうですか。では、無事をお祈りいたします」
メルキドを一回り歩いたところで、中央に大きな神殿のような建物が見えた。近づいてみると、どうやらここが賢者の家のようだ。
下手したら命を奪うバリア……。ハルカはどうしても入る気にはなれなかった。
(まあ、何か良策はあるかもしれないけれど…。というか、この人が残り一つの神器を持っている賢者かもしれない……どうしたものか)
少し考えた結果、まずはロトの鎧のことを先に考えることにした。
(……その前に、ラダトームへいったん戻ろうかな)
帰る前にもう少しメルキドの街を歩いていると、見張り台のような塔があった。
鍵は開いていて、ハルカは悪いと想いながら、こっそり塔の中へ入った。
塔の屋上には一人の兵士がいたが、彼はハルカを怒りもせず、むしろ歓迎してくれた。
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