第九章 双月の舞踏会
第三話 一時の別れ
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意しておくよ」
「それは今から楽しみですね」
「ちょ、ちょっと待って! アルトはそれでいいの! シロウが帰っちゃうんですよ!」
にっこりと士郎とセイバーが笑い合っていると、ティファニアの焦った声が居間に響き渡った。
椅子を蹴倒して立ち上がったティファニアが、隣に座るセイバーに肩に手を置きガタガタと揺らし始める。セイバーはティファニアに肩を揺さぶられながらもクッキーを食べ続け。
「構いません」
山と積まれたクッキーを全て食べ終え、ティーカップをテーブルの上に置いたセイバーは小さく首を横に振った。
「二度と会えないと言うわけではありません」
「そうかもしれないけど」
落ち着いて応える姿に無理しているわけではないと分かるティファニアだったが、それでも士郎と再開してどれほどセイバーが喜んでいたか知っているためか、諦め切れないようであった。
む〜と不満を隠そうともしない顔を近づけてくるティファニアにセイバーは少し困った顔を向けると、落ち着かせるようにその頭に手を置きぽんぽんと軽く叩いた。セイバーに宥められたティファニアは、未だに未練がましい視線を向けながらも頭に手を置き引き下がる。未だ頬を膨らませるティファニアを苦笑しながら横目で見ていたセイバーだったが、直ぐに視線を鋭くさせるとその先を士郎に向け。
「それに……再会もそう遠くないと思いますし」
と、小さく口の中で呟いた。
「それじゃ。世話になったな。お前たちもあまりテファたちを困らせるなよ」
士郎は足元に縋りついてくる子供たちの頭を一人一人丁寧に撫でながら言葉を
ルイズたちが荷造りを終えると、直ぐに士郎たちはウエストウッド村を出発することになった。
ウエストウッド村の入口に立つ士郎たちの前には、セイバーやティファニア、子供達が見送りに立っている。
士郎が帰るということを知った子供たちは、足に縋りつきながら引きとめようとしたが、ティファニアやセイバーの説得により何とか納得したものの、今も涙で潤んだ瞳を士郎に向けていた。
そんな姿に鈍りそうになる足を無理やり動かし背中を向けた士郎は、心配そうな目を向けて来るルイズたちを促すと歩き始める。どんどんと小さくなっていく士郎の背中に、子供たちの涙混じりの声がいくつも投げかけられていく。
士郎の背中が見えなくなるまでずっと手を振ったり声を掛けていた子供たちも、暫らく経つと一人また一人とウエストウッド村の入口から離れていった。
最後まで残ったのは、セイバーとティファニアだけだった。
セイバーは風に揺れる髪を片手で押さえながら、隣に立つティファニアに顔を向けた。ティファニアは風になびく髪をそのままに、じっと士郎たちが消えた先を見つめている。
「ティファニ
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