第九章 双月の舞踏会
第三話 一時の別れ
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載されたサインに気付くと一瞬でその皺は綺麗さっぱりとなくなり、驚愕に目を見開かせた。
「ってこれ、姫さまのサインじゃないっ!? どういう事よ一体っ!」
バンっ! とテーブルを叩き顔を上げたルイズが、アニエスに睨みつけるような視線を向ける。
「どうもこうもない。書かれている通りだ。先日そこの……どうしたその怪我」
「……聞かないでくれ」
士郎を指差し視線を向けたアニエスの顔がガチリと固まり、伸ばしていた腕がだらりと垂れ下がる。
アニエスの戸惑った視線を受けた士郎は、乾いた笑みを浮かべると肩を落とし微かに首を横に振った。士郎のその言葉と雰囲気にまさかとアニエスが周りに視線を巡らせると、さっとルイズたちの顔が逸らされる。何となく事情を察したアニエスが引きつった顔で小さく溜め息を吐き、気を取り直すように一度大きく首を横に振ると、テーブルに広げられた手紙を取り上げた。
「まあ、ともかくだ……そこにいるシロウの生存報告をしたら、手紙に書いてあった通り。陛下直々に直ぐに帰って来いとのお達しが返ってきたということだ」
手紙を懐に直しながら説明していたアニエスだったが、再度士郎に顔を向けると、顔を苦々しく歪めルイズたちを睨みつけた。
「まあ、どうやら知らない間に逆の報告をしなければならないところだったみたいだがな」
「はは……」
逃げるようにルイズたちが明後日の方向を向いて乾いた笑い声を上げていると、アニエスは踵を返しドアに向かって歩き出した。伺うような視線を背中に受けながらドアノブに手を掛けたアニエスは、ドアを開く直前後ろを振り返るとギロリとルイズたちを睨みつけた。
「という訳で直ぐに出発するぞ……その男が死ぬ前にな」
「「「っ! は、はいっ!」」」
殺気さえ混じった声に、ルイズたちは椅子を蹴倒しながら立ち上がると、一斉に荷物をまとめる為飛び出していく。
その場に残ったのは、この家の主であるティファニアと同居人であるセイバー。そして士郎とロングビルの四人であった。
ロングビルは先程の喧騒の中でも優雅にティーカップを傾けていた手をカップと共にテーブルに置くと、隣に立つ士郎に顔を向け、
「で、どうするんだい?」
と、問いかけた。
「俺は特に荷物とかないからな。そういうマチルダはどうなんだ?」
「わたしは何時も直ぐに出られるように荷物は纏めてるからね。で……どうするんだい?」
「……っはぁ……」
士郎はロングビルの問いかけに諦めたように小さく溜め息を吐くと、アニエスが入ってきてからもずっとクッキーを食べ続けていたセイバーに顔を向けた。
「まあ、そういうことだ」
「んぐんぐ、ん……わかりました。今度来るときはお土産をお願いします」
「了解。色々と用
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