彼の居場所
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「夢かよっっ!!」
あれだけ意味深な書き出しから始まって全部夢かよ!納得いかない!!
僕は昼休みのクラスで水瀬君の書いたライトノベルの続きを読んでいた。……だけどあんまりな展開に僕は大声で突っ込んでしまった。
周りの目も気にせずに。
「木崎、うるさい」
そしたら自習をしていた安土山さんに睨まれてしまった。
納得いかないけど彼女は悪くないので、とりあえず謝る。
「ごめんなさい」
すると何も言わずにまた自習に戻る。
どうでもいいけど安土山さんって休み時間は勉強しているところしか見ないな、なんて思考をそらすと
「いくら面白いからってそんなに興奮するなよ」
満足そうな笑顔でふざけた事を言う水瀬君の言葉でこっちに戻る。なんてムカつく解釈の仕方なんだろう、ぶん殴っていいかな?
グーで
「なぁんだ、夢だったんだ、なんか残念」
水瀬君を殴ろうと腰を浮かせた僕は横から声がして、そっちを向くと転校生の水瀬さん(ややこしいな)が水瀬君のライトノベルと呼ぶにはお粗末なものを読んでいた。あれを強要されずに読めるなんてずいぶん神経が太い人だな。
「というかなんで水瀬さんも読んでるの?」
水瀬君の席の隣で『え?今さら?』とでも言いたげな表情で僕を見る。いや、だってね、彼のライトノベルを読むのって体力と集中力使うんだよ、主に突っ込みで。
「隣の席と後ろの席の人が朝から自作の小説の話ばっかりするから、気になって水瀬君に読ましてもらったの。そしたら中々面白くてね」
何……だっ…て。
面白い?
これが!?
「ふん、これが一般的な意見という事だなキサキ君」
斜めの席でたった一人の支持を受けただけの水瀬君がふんぞり返って言う。
確かに世の中にはいろんな感性を持つ人がいる、でも水瀬君の書いた小説を面白いと思う人なんて万人に一人くらいのものだろう、そしてそれがたまたま水瀬さんだったというだけの事だろう。
だけどそれでも認めたくないものだってある。これが……若さ故の……いや自己嫌悪はやめておこう。
「……どうせ万人受けしないさ……」
「なんでそんな事言うの?ふみ君」
僕の苦し紛れの嫌味を否定する声がする。それは予想外の人物だった。
「依都子ちゃんまで……」
クラス一……いや学校一かな?先月の図書室ランキングで四十二冊の本が貸し出しされてて名前が貼ってあったし(さらに市の図書館からも借りている)……の読書家の依都子ちゃんがこっちに来た。
依都子ちゃんと僕は……従兄妹(いとこ)で※ダジャレではない…幼稚園の頃からよく一緒に遊んでいて愛称で呼び合う仲だ、中学生になってからは少し疎遠気味になってたんだけど、いきなり会話にはいって来るなんて、どういう風の吹き回しなのかな?そして気がついたら四面楚歌だった。どうし
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