彼の居場所
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て僕の周りには一般的な感性を持つ人がいないんだろう?
「ええと、木崎君…だっけ、君ってなんか偏見が強くてガンコだよね」
水瀬さんは今朝の水瀬君みたいにフーヤレヤレと溜息をつく(まさに今朝の再現)、どうやらミナセカズミという人種は僕と相性が悪いらしい。
めっちゃムカつく。
「もういいや、だったらもう読まないさ」
言い返すのもアホらしいので相手にしないことにした。どうせまた読まずにはいられなくなるんだろうけど、今くらいは拗ねたっていいだろう。
「ふみ君って昔からこうだから、私のすすめる本もあんまり読んでくれないし」
呆れたように依都子ちゃんが呟く、それは聞き捨てなら無いな。
「ちょっと待てや、よんで数ページ目からのセリフが『お兄様、お兄様、お兄様』ってひたすら連呼する本(夢野久作著 ドグラ・マグラ)なんて読めるか!実際に妹がいるんだぞ!嫌な想像しちまうじゃねぇか!!」※ドグラ・マグラファンの方、申し訳ございません。
自分のキャラを忘れて思わず再度大声を出してしまった。
「木崎!うっさい!」
後ろから安土山さんが投げたシャープぺンシルが飛んできて背中に刺さる。
痛くないけど、クラスメイトの視線が痛い、敵がどんどん増える僕、誰か味方してください。
バァーーーーーーン
そんな事を考えたのがいけなかったのかな、いきなりクラスの扉が勢いよく開きそいつは登場した。
……あぁ、面倒臭いのが来ちゃったよ。
「呼んだかい?愛しの綾文」
隣のクラスの2−Aの美男子、窓辺渡君だ。彼はスポーツ万能で成績優秀、そして眉目秀麗、なのに………
「綾文の心の声を聞いて駆けつけてきたんだ、どんなことだろうと解決してみせるよ!」
物凄く残念なガチホモ野郎なのだった。
「………キモ………」
水瀬さんが呟いた。よかった、渡君は黙ってさえいれば万能美少年なので勿論最初は女子から凄くモテるんだけど、彼の本性を知ると……大概の人がショックを受けちゃうんだよね。だから初対面の内に彼の本性を見れた水瀬さんはラッキーな方だと思う。
ま、関わっただけで十分アンラッキーなんだけどね。
「呼んでないよ渡君、だからさっさと自分のクラスに帰ってね」
下手に出ると渡君は付け上がってくるので、できるだけ冷たく言うんだけど、それをどう解釈したのかな?めちゃくちゃ嬉しそうな顔をしながら彼は頷いた。
「そうかい?…綾文がそういうなら退散するとしよう」
確かに依都子ちゃんは自分の席で我関せずといったように読書していて、安土山さんはうるさ過ぎて教室から出て行き、水瀬コンビは呆れていてポカーンとしている。周りのクラスメイトにいたっては白々しく世間話をし始めた、どうやら皆も渡君と関わりたくないようだ。ま、おかげで助か
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