第三十四話 トラックその四
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「だから息子にもね」
「スポーツカーが好きであって欲しいんですね」
「そういうことですか」
「ええ、トラックもだけれどね」
それと共にだというのだ。
「スポーツカーもね」
「けれど救急車もいいですよね」
美優がここで先生に言う。
「あれも」
「ええ、人の役に立つ車だからね」
「それを好きっていうのはいいことだと思いますけれど」
「先生もそう思うわ。けれどね」
「スポーツカーやトラックもですか」
「好きになって欲しいわね、やっぱり」
先生は美優に対してもこう話す。
「強制はしないけれど」
「好き嫌いって強制出来ないですからね」
今度は里香が言う。
「それはどうしても」
「そうなのよ、自分の子供の好き嫌いもね」
親でもそれを強制してどうかは出来ないというのだ。
「好きになる様に努力は出来てもね」
「強制は、ですね」
「出来ないわ」
それはどうしてもだというのだ。
「それに親でも強制はよくないから、好みについては」
「親でもですか」
「言って駄目なこと、やって悪いことはさせたらいけない様に教えないといけないけれど」
「そうしたことで強制はですか」
「出来ないわ、若ししたらおかしなことになるから」
「したらいけないんですね」
「巨人を応援しろって言ってもはいそうですかって出来ないでしょ」
関西やこの広島、他には名古屋では特にそうだ。巨人を忌み嫌う者に巨人を応援しろと言っても出来る筈がない。
「そうでしょ」
「はい、それはかなり」
「無理があります」
「息子はパリーグ派で日本ハムファンだけれどね」
それでもだというのだ。
「巨人を応援しろとかは言わないから」
「先生もですね」
「私も旦那も巨人嫌いだし巨人みたいなことは絶対にしたら駄目だから」
あのフロントのやり方はというのだ。
「息子にはあの会長みたいな人間にはなるなって絶対に教えてるわ」
「つまり反面教師にしてるんですね、あの会長を」
琴乃がこう問う。
「そうなんですね」
「そうよ、あとあのボクサー一家もよ」
先生は顔を顰めさせてとある一家の名前も出した。
「あの連中みたいになるなとも教えてるわ」
「まああの一家最低ですからね」
「スポーツマンシップないですし」
「柄も悪いし品性もないし」
「最低ですよね」
「あの一家は最低よ」
品性も知能も人格も教養もない、勿論スポーツマンシップもない。長男は次男のセコンドの時に相手の目を狙えと言っていた、そして次男は対戦相手にプロレス技めいた技をボクシングの試合で使った。これがカリスマの家系とやらの行動だ。
「あんな連中になったらね」
「人間おしまいですね」
「いや、本当に」
「あんな人間になりたくはないですね」
「あなた達にも言ってるわ
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