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アイーダ
第二幕その一
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見ている。そして声をかけるのだった。
「いいかしら」
「あの、それで」
「貴女への贈り物はね」
 じっとアイーダを見据えて言う。言葉を続けてきた。
「エチオピアのことよ」
「エチオピアの!?」
「そう、貴女の祖国」
「私の祖国のことを」
 それを聞いて顔を蒼ざめさせる。アムネリスはさらに言うのであった、
「祖国は無事のようね」
「そうなのですか」
 そのことにまずは安堵した。
「そうなのですか」
「そうよ。それでね」
「ええ」
「私は他にも貴女にあげたいものがあるの」
 今度は顔を彼女に向けてきた。
「私にですか」
「ええ。何でも言いなさい」
 アイーダに告げる。
「何が欲しいのかしら」
「それは」
(言いたい)
 ラダメスのことを。だが言えなかった。
 それだけはどうしても言えなかった。どうしてエチオピアの奴隷がエジプトの将軍に対して何が言えるのか。それを思うとどうしようもなかったのだ。
(けれどそれは)
(ふん)
 そんなアイーダをアムネリスも見ていた。じっとその表情を探っていた。

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