第25話 決闘は予約を入れてからしろ!
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トの足音だけが静かに廊下内で響き渡る。既に慣れた道筋だ。迷う筈がない。その通路の中を歩きながら、フェイトはふと疑問に感じていた。
(母さんはどうしてなのはを必要としたんだろう? 確かに、なのはの中にはジュエルシードが眠ってる。でも、今の所危険の兆候は見られない。心配する事ないと思うけど)
疑問は尽きないが今は詮索する必要はない。それよりも今は母に会い何故自分だけを呼んだのかを尋ねる事が先決だからだ。
母の待つ二枚式の扉を開き、玉座へと足を運ぶ。
「母さん、来ました」
「来たわね? フェイト」
其処には相変わらず不健康そうな顔立ちをした母プレシアが座っていた。
不健康で不機嫌。それでいて不穏な空気をその身に纏っているプレシアがフェイトを睨むようにして座っていた。
その視線を一身に浴びながらも、フェイトは歩を止めず、プレシアの目の前に歩み寄った。
「あの、用とはなんでしょうか?」
「その前に貴方に言っておく事があるわ。此処最近の貴方の働きは立派よ。流石はこの大魔導師プレシア・テスタロッサの娘ね。最初は私の期待に答えない働きぶりに私も不安を感じていたけれど、これで母さんは安心出来るわ」
「そんな、私は母さんの為に一生懸命にやっただけです。それに、私一人で出来た事じゃありませんし―――」
「謙遜する必要はないわ。貴方は立派に役目を果たした。胸を張りなさい」
何時になく優しい母の言葉であった。その言葉にフェイトは何処かくすぐったさを感じた。思わず顔がほころんでしまう。
必死に顔を俯かせて顔が緩んでいるのをプレシアに見られないようにフェイトは努めた。
そんなフェイトの心境などどうでも良いかの様にプレシアは話を続けた。
「でもね、フェイト。まだ管理局に奪われた残り僅かなジュエルシードを集めなければならないの。それをやってくれないかしら?」
「管理局が保有するジュエルシードを取り戻すんですね?」
「そうよ、そうすれば、私の研究は完成するし、それに……貴方のお友達を助ける事も出来る筈よ」
なのはを助けられる。
その一言だけでフェイトの頭は支配されていた。フェイトにとってなのはは既に掛け替えのない大事な存在だ。
その彼女を今度こそ助けられる。その為ならば多少の無茶は覚悟の上での事でもあった。
「やってくれるわね? フェイト」
「勿論です! 母さんの為に、それに……なのはを助ける為にも、私はやります!」
「有り難う。それでこそ私の娘よ。気をつけて行ってきなさい」
「はい! 行って来ます!」
元気良く、フェイトは頷く。そして舞い上がる気持ちを抑えつつ、玉座を後にした。その際にフェイトは見るべきであった。
プレシアの笑みの裏に浮かぶ、邪悪に満ちた笑みを。
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