第24話 住めば都も二つあると悩みの種
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「う〜っす、今帰ったぞ〜」
なのはを高町家に預け、銀時は一人アースラへと帰還した。
何時も通りやる気の欠片も感じさせない声色を放ちながらのご帰宅であった。
そんな銀時の帰還を局員の何人かが見届ける。そして、その度に微妙な表情を浮かべるのであった。
それほどまでに銀時のやる気のなさは珍しいのだろう。自分達の世界にこれ程やる気を見せない人間は居なさそうなのだし。
だが、そんな事銀時にとっては知った事ではない。寧ろ、今の銀時は何処か疲れを感じていた。
早く横になって惰眠を貪りたい。そう思っていたのだ。
「銀さん! 丁度良い所に―――」
だが、世の中そう上手く行く筈がない。寝床に向かい歩いていた銀時を呼び止める声が響いた。呼び止めたのは新八であった。
その時の新八の顔は何処となく嬉しそうな顔にも見えた。
「どうした? 何時になく嬉しそうじゃねぇか? 彼女でも出来たんですかぁコノヤロー」
「放っておいて下さいよ! でも、確かにそうですよ、ついさっきクロノ君が目を覚ましたんです。それを伝えようと思ってたんですよ」
「そうか、んじゃちょっくら寄ってくとすっか」
頭を掻きながら、さもやる気の欠片も感じさせない口調で銀時は歩いた。
その後に続き新八も歩く。
「ところで、銀さん」
「今度は何だ?」
歩きながら新八は尋ねた。それに対し、毎度の如く面倒臭そうに銀時は言葉を返す。
歩きながらな為だったので銀時は見てなかったのだが、その時の新八の顔はとても真剣な面持ちであった。
「なのはちゃんの件……本気なんですか?」
「あぁ、俺はそのつもりだ」
「そう……ですか」
銀時の返答に新八は項垂れだす。
突如、銀時は立ち止まり、新八の方を向いた。
その時の銀時の顔もまた、真剣な面持ちをしていた。
「新八、お前ならどうした方が良い? 元生まれた世界で骨を埋めるのと。全く見ず知らずな世界で骨を埋める事と―――」
「そ、それは―――」
新八には答えられなかった。答えが見つからなかったのだ。
想像できないからだ。生まれて間も無く全く見知らぬ世界へと飛ばされる事。
それがどんなに怖い事なのか……考えただけでも寒気がしてきた。
そう思うと、江戸で生活しているなのはの強さには感服すら出来る。
普段はあんなに元気に振舞ってはいるが、実際は不安で一杯だったのかも知れない。
「ま、どっちの世界を選ぶかはあいつ次第って所だ。それよりも今は執務官殿の様子でも見に行こうぜ」
話を一旦そこで区切りをつけ、銀時と新八は再び歩きだした。無機物な通路内に二人の足音だけが響き渡る。
「そう言えば、神楽の奴はどうしたんだ?」
「なのはちゃんが海鳴市に行くってんで、
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