第23話 時には子供でも決めなきゃならない答えがある
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たんだね?」
アルフの両拳が堅く握られていく。怒りが体全体を突き動かしているのを感じているのだ。
そのアルフの怒りを前にしても、プレシアはとても涼やかな顔をしていた。
「殺すなんて人聞きの悪い事言わないで欲しいわ。私は只あの子が欲しいだけよ。あの子の……全てがね」
「ふざけんじゃないよぉ!」
アルフの中で何かが切れる音がした。
それと同時にアルフは跳躍し、プレシアに向い鉄拳を叩き込んだ。
堅く握られた拳はプレシアの面前で止まった。直撃するよりも前にプレシアが結界を張ったのだ。その結界は強固であり、とてもアルフで破れる代物ではなかった。
「いきなり何の真似? 使い魔の分際で私に逆らうと言うの?」
「私の主はフェイトだ! そのフェイトを傷つけるお前を、これ以上許しちゃおけない!」
狂犬の如く牙を剥き出しにし、今にも食い掛かりそうな顔でプレシアを睨んでいる。
そんなアルフを見て、プレシアは嘆くように首を左右に振った。
「どうやら、フェイトは使い魔の教育がなっていないようね。代わりに私が躾しなおさないといけないわね」
「なっ!」
言葉の意味を理解した頃には既に手遅れであった。プレシアが持っていた杖を鞭の形に変え、それを撓らせてきたのだ。
音を立てて撓る鞭がアルフの横顔に直撃する。
しかし、その衝撃は丸太で殴られたように重かった。軽々とアルフの体は横に吹っ飛び、地面に擦れながら倒れる。
「づっ……ぐぅっ!」
「本当、何でフェイトは貴方みたいな駄目な子を側に置きたがったのかしらね? あの子もまだまだ躾が足りないようだし。帰ってきたら躾し直さないと駄目みたいね」
呟くように言いながらも、プレシアは途切れる事なく鞭をアルフに向けて叩きつけて来た。
それに対し、アルフは防御結界を張り鞭を防ぐ。
しかし、鞭の一撃一撃がとても重く、受けるアルフの顔に苦悶の表情が浮かんでいた。
「ふざ……けるなぁ!」
「ん?」
突如、おたけびをあげる。
腹の底からアルフは叫び、一心不乱に突進した。この際鞭の一撃やニ撃は覚悟の上だ。
今は自分の被弾よりも、あの女の顔に一撃お見舞いしたい。
その気持ちで一杯だったのだ。
「覚悟しろ! この、鬼婆ああああああああああ!」
「鬼婆ですって? 失礼ね」
撓らせていた鞭を手元に戻し、元の杖にし、握り締める。
そしてそれをアルフの面前に翳す。
そんな事に構わずアルフは拳を叩き込んだ。
やはり、結界がそれを遮った。どんなに強く殴りかかっても、アルフの拳はプレシアには届かない。
「な……ぐっ!」
「一体何処でそんな汚い言葉を覚えたのかしら? つくづく貴方はフェイトの教育に悪いわ」
突如、杖が
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