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駄目親父としっかり娘の珍道中
第22話 竜巻対バカ
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てあげようじゃない!」
【上等だぁゴラァ! 今すぐ俺んとこに来やがれ! 後腐れねぇようにギタンギタンに―――】

 言葉の途中であった。突如上空から不穏な空気が流れ出す。
 しかし、当の面々は会話に夢中でそれに全く気付いていない。
 気付いているのはその中でたった一人だけであった。

「アルフ!」
「え?」

 咄嗟にアルフに向いフェイトを投げ渡す。驚きながらもアルフはフェイトを受け止める。
 その直後、クロノに向い雷撃が直撃するのはほぼ同時だった。

「がっ!」
「クロノォ!」

 ユーノ達の目の前で突如降り掛かった雷撃により黒こげとなるクロノが映った。
 黒いバリアジャケットが背中一面焼け焦げて機能の大半が失われている。
 それに彼自身の負傷具合も酷い事になってる。

「おい、クロノ! 大丈夫なのか?」
「ぼ、僕の事は良い……それより、ジュエルシードの方を……」
「無理だ。僕じゃ封印出来ない。それに、もう手遅れだ」

 ユーノがそっと指差す。その方にはクロノが負傷したその隙をつき、フェイトが6個のジュエルシードを全て封印している光景が見えた。
 完全な油断だった。フェイトが黒幕ではなかった。
 フェイトは、只その後ろに居る黒幕に良いように利用去れていたに過ぎなかったのだ。
 その証拠に、今のあの一撃をクロノがフェイトを手放していなければ両方直撃していた。
 
「ま、待つんだ!……行っちゃ……行っちゃ、いけない……」

 傷つきながらもフェイトに向い腕を伸ばす。その掠れきった声を感じ取ったのか、フェイトはそっと振り向いた。
 その顔は、とても申し訳なさそうにも見えた。
 まるで、彼に申し訳ないと思っているかのように。
 そっと、フェイトの唇が動いた。

(ごめんなさい)

 そう、そう告げているかの様に、クロノには聞こえた。
 真相は分からない。だが、そう聞こえた気がしたのだ。
 それを最後に、クロノの意識は途絶えた。




     つづく
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