第22話 竜巻対バカ
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
一面青い海と雲空しか視界に映らない。
其処は日本や大陸から遠く離れた海原。
本来なら穏やかな海と曇り空だけが映る筈のその海原で、その場に似つかわしくない代物が存在していた。
天を貫く程の巨大な竜巻は、海を荒らし、雲すらも飲み込もうと渦巻いている。
その竜巻に果敢に挑もうと、フェイトとアルフの二人は其処に居た。
この竜巻は自然に起こった代物では断じてない。
これは、海底にあった6つのジュエルシードを強制的に起動させ、暴走させた産物が今の竜巻なのだ。
フェイトは焦っていた。
管理局の介入によりジュエルシードは殆ど管理局側に持っていかれてしまい、もう残りも少ない。
起死回生を狙い、無茶な回収を行ったのだ。だが、その結果がこれである。
幾多の無理な回収作業の為に疲弊し切っていたフェイトにそれを止める余力は既になく、アルフにも同じ事が言えた。
いや、もしフェイトが全快であったとしても、あの竜巻を止める事は困難であろう。
その竜巻に、フェイトは今無謀にも挑んでいたのだ。
手に持っていたバルディッシュから閃光の刃を放ち、竜巻を切り裂こうとその小さな体を竜巻に向けて突っ込ませた。
だが、巨大な竜巻はその小さな体を呆気なく吹き飛ばしてしまう。
小さなフェイトの体では天を突く程の巨大な竜巻を止める手立てなどなかったのだ。
「やっぱり無理だよフェイト! すぐに此処から離れないと巻き込まれるよ!」
「だめだよ。此処で封印しなきゃ、この竜巻が陸地に入ったりしたら……」
フェイトの脳裏に浮かぶ光景。それはこの竜巻が陸地に入り、そして人の住む場所に入った時の事だった。
あの巨大な竜巻がもし、陸地に入り……そして人の住む場所に入ったりしたら。
自然が生み出した竜巻ではなく、ジュエルシードの暴走によって引き起こされた巨大竜巻だ。
恐らく永遠に止まる事なくその竜巻は回り続ける。
そして、人の住む場所をその巨大な竜巻が飲み込み、破壊しつくしていく。
後に残るのは瓦礫の山と無数の死体だけとなるだろう。
そんな事をさせる訳にはいかない。
何としても此処で封印しなければならないのだ。
だが、迫る竜巻は更に巨大さを増していく。最早並の魔導師では止められる領域ではなくなっていた。
(このままじゃ、この竜巻は陸地に上がって行く)
最悪の情景が頭の中を過ぎった。巨大な竜巻により蹂躙されていく街。
そんな情景にさせる訳にはいかない。
しかし、現状の魔力武器ではあの竜巻を止める手立てはない。
となれば、残された手段は一つしかない。
残された魔力をフルパワーにし、自身を魔力の塊として竜巻に突っ込むと言う戦法だ。
しかし、これは半ば自爆に近い。全ての魔力を解放して体当たりする
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ