第21話 馬鹿な上司ほど部下が集まりやすい
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自然の生い茂る一帯。其処に明らかに似つかわしくない物が居た。全身ヌルヌルな体表で覆われたヌルヌルした鳥の様な生き物であった。
恐らく、これもロストロギア、ジュエルシードの暴走による産物と思われる。しかも、このロストロギアかなり匂うのだ。どれ位匂うかと言うと三日前に牛乳を拭いた雑巾のおよそ100倍位の臭いが漂っているのである。
もうめっさ臭いのである。はっきり言って近くに居ると余りの臭気に発狂しそうになってしまう事請け合いであった。
そんな悪趣味な敵を相手に銀時達は今、必死に交戦をしていた。
「くっせぇ! 何だよこいつ。今までの奴等みたいにベラボウに強いの出せってんだよ! 何だよこいつ、力で勝てないからって今度はこっちの戦法で来たってかぁ? くそっ、鼻が曲がる。余りの臭さで涙が出て来やがった」
鼻を抑えながら訴える銀時。幾ら匂わないと願掛けしても匂う物は匂うのだ。しかもかなり高レベルの匂いが。
その余りの臭さを耐える為にその場に居る一同は皆片手で鼻を摘みながら闘う羽目になる。つまり、必然的に片手を封じられる形となってしまったのである。
敵の巧みな戦術でもあった。
「ぎ、銀さん! 余りの臭さに僕の意識がもうやばいんですけど」
「バカヤロー! 折角前回の話で俺達がようやく戦えるって事になったんだぞ。諦めんな新八ぃ!」
そうは言うが、実際に銀時自身もかなりやばめである。もう余りの臭さに頭がフラフラしだしてきた。匂いで頭がやられるなんて生まれて初めての経験でもある。
それに、このままでは奴の匂いが服や体に染み付いてしまいそうだ。そうなる前に決着をつけねばならない。
「銀さん、此処は僕が押さえつけますからその隙に仕留めて下さい!」
「ユーノ、お前やれんのか? 間違っても奴の体液なんかこっちに飛ばすなよ! 飛ばしたらお前デコピンだからなぁ!」
「そんな凡ミスしませんよ」
念を押しながらもユーノは前に歩み出る。そしてヌルヌルの鳥の前に立つと両手を翳す。
「チェーンバインド!」
翳した両手から鎖状のそれが飛び出しヌルヌルしている鳥の周囲を雁字搦めに拘束していく。突然身動きがとれなくなってしまった事に驚いた鳥がばたつき始めるが、既に遅しであった。ヌルヌル鳥の体にユーノの放ったバインドが絡みつききつく締め上げる。
「銀さん、今です! 今の内に奴をしとめて下さい!」
動けない今が絶好の好機。そう踏んだユーノは銀時達に向かい声を張り上げる。その声を聞き、銀時を筆頭として、神楽、新八の三名は一斉にヌルヌルした鳥へと攻撃を行うべく近づいていく。
だが、近づけば近づく程匂いがきつくなりだし、ついには激しい目眩の為にヌルヌル鳥からおよそ20メートル手前で近づけなくなってしまった。
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