第21話 馬鹿な上司ほど部下が集まりやすい
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指摘にクロノは何一つ言い返せなかった。
そんなクロノを見た後、土方は口の中から白煙を噴出し、再び口を開いた。
「だが、そんな馬鹿が上司なら。俺は安心して背中を任せられる」
「僕に、背中を?」
「確かに上の連中から見たらお前はどうしようもない馬鹿だ。だが、上にとっちゃ大馬鹿野郎かも知れねぇが、俺達にとっちゃ大事な大将だ。上でふんぞり返ってる連中のお顔伺いしてるような大将なんざ、こっちから願い下げだ。俺達の大将は馬鹿が丁度良いんだよ」
「土方さんの言う通りでさぁ」
今度は沖田が続けて出てきた。今まで会話に参加しなかったのは恐らくこの為だったのであろう。
「俺達に必要なのは出世する大将じゃねぇ。俺達が安心して背中を任せられる頼り甲斐のあるバカ大将でさぁ。此処に居る近藤さんだって、見た目通りのバカなんでさぁぜぃ」
「え? 俺バカなの?」
「近藤さんってなぁつくづくお人好しな人でねぇ。他人の良い所を見つけるのは上手い癖に、悪い所を見つけるのは滅茶苦茶下手な人だ。その上情に脆くて大局よりも目の前で助けを求めてる命の為に突っ走っちまう。最大級の大バカ野郎でさぁ」
「ちょっ、止めてくんない? 俺の事罵倒すんのさぁ」
どうやら近藤自身からして見れば罵倒されてるように聞こえるのだろう。不憫と言えば不憫としか言い様がない。
「だけど、そんなバカだからこそ、俺達はこの人が後ろに居るから、安心して戦えるんでさぁ。俺達にとって、このバカは必要な存在なんでさぁ」
「そう言う訳だ。俺達は別に有能な上官なんて求めちゃいねぇ。無能だろうとバカだろうと、俺達の事や目の前の命の為に一心不乱に走れる奴が、俺達の一番求めてる大将なんだよ」
先ほどの厳しい言葉から一転し、土方も沖田も笑いながらクロノを見ていた。その表情は、自分の選択に対する二人の答えが詰まっていた。
「目先の大局ばかり追いかけて、上の事ばかり見てるような腰抜けなんざこっちから願い下げだ。俺達にとっちゃ、お前は充分背中を預けられる価値のあるバカだぜ」
「そう言う訳でさぁ。もっと胸を張って行って来なせぃ。このバカ野郎が!」
「土方さん、沖田さん」
思わず胸が熱くなるのを感じた。こんな感情は何時振りだろうか。長い間執務官として冷静に職務をこなしていた間には全く無かった感情であった。
「そう言うこった。早く行って来いこのバカ!」
「ただいま、って言うまで油断しちゃ駄目あるよこのバカ!」
「気をつけて行って来てね。このバカ!」
「頑張ってね、おバカさん」
万事屋ご一行もまた、クロノにそう言ってくれた。今まで、バカは罵倒文句と思っていたが、今此処にそれは改正された。
クロノにとって、バカとは罵倒文句じゃない。立派な褒め言葉だったのだ。
「分か
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