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駄目親父としっかり娘の珍道中
第21話 馬鹿な上司ほど部下が集まりやすい
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んじゃねぇ!」

 殴り倒した銀時がクロノを睨んで豪語していた。重い拳だった。普段の軽いノリの銀時のとは思えないとても重い拳であった。
 これが、父親の拳なのだろうか?
 そう感じ取りながらも、クロノは立ち上がった。同様に口元の血を手の甲で拭い取りながらも、その視線は銀時の目を見ていた。

「確かに僕はあんたから見たらまだ未熟者の青びょうたんかも知れないさ! まだ下の方に毛も生えてないし! だけどそれが何だ! 生えてりゃ偉いのか? 何を言っても、何をしても許されるのか?」
「少なくともてめぇでてめぇのすべき事を決められねぇてめぇよりはマシだよ!」
「なっ!」
「悔しかったらてめぇのする事をてめぇで決めやがれ! 誰の意見も聞かず、てめぇの思ったとおりに動いて見やがれ糞ガキ! 理屈こねんのはその後だゴラァ!」
「自分の……思ったとおりに……」

 銀時の言葉はクロノの胸に深く突き刺さっていた。自分は一体何に迷っていたのだろうか?
 犯罪者と言うレッテルを持つが、目の前に映っているフェイトはまだ自分よりも幼い少女だ。
 その少女を、犯罪者と言うレッテルだけで見殺しにして良いのか?
 嫌、出来ない。例えそれが管理局の掟に背く行為だったとしても。
 例え、それが多くの人々を不幸にする行いだったとしても、クロノにとってその行いこそが最良の選択でもあったのだ。

「分かりました、銀さん……貴方のお陰で、胸がスッとしました」
「そうかよ。それじゃ、行って来い。今のお前なら迷う事ぁねぇ筈さ」

 気がつけば、銀時の顔がとても穏やかになっていた。先ほどまでの怒りに満ちた顔から凄まじいまでの豹変ぶりである。
 
「クロノ、貴方まさか!」
「すみません艦長。命令違反を犯してしまう事になりそうです」
「貴方、正気なの? そんな事をして、只じゃ済まないかも知れないのよ!」
「覚悟は出来てます。それに、今行かないと、きっと僕は後悔する。そう思えるんです」
「クロノ……」

 止めても無駄だろう。そうリンディは察した。彼を一番良く知っている彼女だからこそ、彼がこう言い出したら聞かない事を良く知っていたのだ。

「その判断をする様じゃ……お前は執務官失格だな」

 だが、そんな中でクロノにこんな言葉を投げ掛ける者が居た。
 土方だった。土方が冷たい目線でクロノにそう言っていたのだ。

「目の前の大局が見えず、目先の命を助ける為に真っ先に突っ走る馬鹿。てめぇはそんな人間だ」
「ひ、土方さん……」
「てめぇみてぇな馬鹿じゃ上に上るのなんざ無理だ。せいぜい前線指揮官位がお似合いだろうよ」

 何とも厳しい言葉であった。自分の判断を根っから否定し、更には自分の未熟さ、無能さを指摘された気分であった。
 その余りの厳しい
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