Mission
Mission9 アリアドネ
(9) シャウルーザ越溝橋 A
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ドガーを『鍵』だと勘違いしたままだ。俺を突破してルドガーを襲うかもしれない。だから、」
これを他者にさせるのには大いに抵抗がある。だが、ルドガーが命の危険に晒されたあの時、ユティはカメラを捨てて戦った。ユティの実力が確かなのも海瀑幻魔との戦いで明白だ。
(この子はルドガーを死なせない。たとえ自分が命を落とすことになったとしても)
「お前にとーさまの一番大事なものを託す。何に替えてもルドガーを守りなさい。できるな、ユースティア?」
「――――、ぁ」
どこかで、何かの歯車が、ガキンと噛み合う音がした。
「とーさまが、そうして、ほしい、なら。ユースティアはルドガーを守る」
「いい子だ」
子供騙しがよりによって自分の娘に覿面に効くなどどんな皮肉か。
「安心しろ。クロノスなんぞにやられやしない。ルドガーに悪い未来になると知った以上、死んでも死にきれないからな。すぐに帰るから、信じて待ってろ。アルフレドが一緒なら寂しくないだろう?」
「うん……さびしくない」
ユリウスは前へ向き直り、走り出した。
走りながらハーフ骸殻に変身し、壊れた壁を伝い、天井から大きくジャンプした。骸殻で強化した跳躍で、遙か空中のクロノスまで肉薄する。
「血迷ったか、探索者!」
クロノスがターゲットを修正するコンマ以下の空白。ユリウスは骸殻を解き、銀時計を突き出した。さすがのクロノスもこれには瞠目している。ざまあみろ。
(お前なんかに壊させない)
とにかく正史世界から遠い座標をイメージする。最悪、クロノス域外へ出て、時空の狭間をさまよっても構わない覚悟で。
そこからはスローモーションだった。血に流れるクルスニクの力をありったけ開放する。
「鍵」でないクルスニクの者でも使える力、次元を超えて別の世界へ行く力。
正史世界から跳び出す寸前、地上を顧みた。
かつての弟分も未来の娘も無事だった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ