第10話 目覚めたのは天上天下唯我独尊的美少女ですよ?
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問い掛けて来る自称豊穣の女神さま。
その右手は、矢張り胸を飾る銀製の十字架に添えられたままで。
そして、
「あんたの親友の大切な人が、あいつって、どう言う意味?」
それまでの彼女に相応しくない、少し、探るような雰囲気で続けて来る。
しかし……。
「えっとぉ。あたしってば、そんな事、言ったのかな?」
どうも、先ほどは少し頭に血が昇ったみたいで、何を口走ったか良く覚えていない美月が、そう問い返した。
確かに、そんな内容の台詞を口走ったような気もするのだが、そもそも、美月には親友と言えるのは白猫のタマだけ。コミュニティに居残ったのは自分よりもかなり幼い子供たちのみ。
人間で、更に同年代のお友達と言えるのは、実はハク一人しか居なかったのだが……。
「さっき、確かに言ったじゃないの?」
少し、声に不満げな雰囲気を纏わせて、そう問い掛けて来る自称豊穣の女神さま。但し、何故か、直ぐに何かに気付いたように、ひとつ首肯いて見せる。
そうして、まるで美月の顔を親の仇か何かのように不満げに見つめた後、
「もしかしてあんたも、あいつの言う縁とか、因果の糸とか言う物に囚われている人間……」
そう言い掛けて、その言葉を自ら否定するかのように、首を横に二度振る、自称豊穣の女神さま。
そして、その仕草に更に続けるようにして、
「違う、人間じゃなくて魂と言う事なんじゃ……」
少し、意味不明の――。いや、厳密に言うと意味不明と言う訳では無く、ただ、現実には実証が不可能な内容を口にする自称豊穣の女神さま。
そう。彼女の台詞は、ハクが語っていた輪廻転生に繋がる内容。
しかし、普通の人間には、前世の記憶が転生の際にリセットされる事により、例え目の前に現れた相手が前世の恋人で有ろうと、親の仇で有ろうとも知る事は出来る訳は有りませんから。
そんな事が出来るのは、人間よりも長大な。ほぼ、無限の時を過ごす神に等しい存在が、かつて某かの絆を結んだ相手と死に別れた後に、再びその相手の人間が転生をして目の前に現れた時に……。
そこまで考えた時、美月の頭の上に疑問符と同時に、天啓にも似た感嘆符が浮かぶ。
これは……。
「もしかして、豊穣の女神さんは、ハクちゃんの前世に関係が有った相手と言う事なんじゃ……」
何か、重要な所で話しが噛み合わないと感じていた美月が、ようやくその理由に思い至ったのだ。
そうだ、間違いない。この目の前の少女が大切な友達としての絆を結んだのは、ハクの前世。美月が、何処とは知れぬ異世界から召喚した名前のない少女の事ではない。
かなりタイミング的には遅いタイミングで、その事を問い掛けて来る美月に対して、
「当たり前じゃないの。今のあいつは
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