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私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?
第10話 目覚めたのは天上天下唯我独尊的美少女ですよ?
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言う連中が、自分の意志でリューヴェルトたちを支援してくれていたのだ。

 リューヴェルトが向かっているのは西。彼の契約しているシルフリードが白い龍で有り、ハクがこれから為そうとする術の括りでは西を支配する龍と言う事に成るらしい。
 その他の方角には、白猫タマが南の方角にリューヴェルトが召喚した火竜を連れて向かい、
 北には白娘子と名乗った妖艶な女性が。
 東には、ハクが向かった。

 そして、一番問題が有るのは中心に残った二人。美月と破壊神。ただ本人の弁に因ると、自らは豊穣の女神だと自称して居たのだが……。

 瞬間、それまで走っていた通路の壁を蹴り、自ら向かうベクトルを在らぬ方向へと変える。
 その刹那、上空より地を進むリューヴェルトに向かい無数の蔓が、まるで槍のように降り注ぐ!
 そう。夜の闇に包まれた世界に、緑と樹木の色の槍が次々と突き立って行くのだ。

 しかし、大地にゴルフボール大の穴が次々と穿たれたとしても、その場には既にリューヴェルトの姿はない。
 その一瞬前に方向を転換させた事により、リューヴェルトの目の前、そして、背後を穿ちながらも、その槍は目的を果たす事もなく、空しく大地を穿つだけで有ったのだ。

 但し、其処まで。槍による攻撃を放った妖樹に対して反撃を加える事もなく、そのまま、彼自身の持つスピードで過ぎ去るリューヴェルト。

 相手は所詮妖樹。妖怪化しているとは言え、樹木で有ると言う属性から離れる事は出来ず、大地に根を張り、巨体で有るが故に動きが非常に鈍い。
 そして、こちらは攻撃を加えて来た妖樹や妖蟲を倒す事は出来ない。
 ならば、答えは簡単。蒼穹(そら)を飛ぶ事は出来なくとも、大地を素早く駆け抜ける事は可能。

 端々を細く尖らせ、緑の天蓋を這い、木々の壁に強く絡みながら襲い掛かる蔓を、紙一重で躱しながら目的地へと続く道を進む。
 そう。龍脈の置き換えを行い、この死の森を、元の生命力に溢れた森へと戻す為に。



 自称豊穣の女神の横顔を見つめる美月。
 東洋系の容貌。但し、それが肌のきめの細かさなどの利点へと現れ、非常に整った顔立ち。黒目がちの強い光を湛えた瞳に、上空に顔を出した月の麗姿を映す。
 服装は、邪神……と言うか、神と言うべき神聖な雰囲気など感じさせないセーラー服姿。

 遙かな頭上に輝く月を、そして、星を見つめながら、彼女は何を思っているのだろうか。
 どれぐらい、この森の泉の畔で眠って居たのか判らない。しかし、その間ずっと、遙か昔に交わした約束を胸にここから蒼穹を見つめながら眠りに就いていたのかと思うと……。

「何か用なの?」

 その胸元を飾る銀の十字架を右手で軽く触りながら、美月の視線に気付いた少女が問い掛けて来た。
 視線は、美月が思
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