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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
紅髪の武将
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さわしい。
身に纏うのは、前合わせの和風の長衣。帯に無造作に差してあるのは、カグラの持つ長刀もかくやというほどの大太刀だ。裾から覗く真っ白な素足に、真紅の高下駄を突っ掛けている。
一目見れば忘れられないその姿は、領主選挙での得票率が八割に近いのも頷けるほど印象深い。
もちろん、その得票の全てが美貌によるものではない。
領主の多忙さゆえにあまり狩りには出られず、数値的ステータスは高いとは言えないが、デュエル大会では常に決勝に進むほどの剣の達人でもあり、公正な人柄で人望も厚い。
視線を動かすと、その隣に立つ小柄な女性プレイヤーの姿が眼に入った。
とうもろこし色に輝くウェーブヘア、その両脇から突き出た三角形の大きな耳はケットシ−の証だ。
小麦色の肌を大胆に晒し、身にまとうのはワンピースの水着に似た戦闘スーツ。両腰に、巨大な三本のツメが突き出たクロー系の武器を装備している。
スーツのお尻の部分からは縞模様の長い尻尾が伸び、本人の緊張と混乱を表してかぴくぴくと震えている。
横顔は、睫毛の長い大きな眼、ちょっとだけ丸く小さな鼻、多少愛嬌のありすぎるきらいはあるが、こちらもALO基準に照らせば驚くほどの美少女ぶりだ。
直接まみえるのは初めてだが、彼女がケットシー領主のアリシャ・ルーだろう。サクヤと同じく、圧倒的な人気で長期の政権を維持している。
並んで立つ二領主の後ろをちらりと見ると、白い長机の左右にシルフとケットシーが六人ずつ、揃って呆然とした顔で立ち尽くしていた。
無論ケットシーは全員初めて見る顔だが、シルフは執政部の有力プレイヤーばかりだ。念のため確認したが、やはりシグルドの姿はない。
そこまでを見てリーファは、ん?とサクヤの言葉の中で理解不能な単語に引っ掛かりを覚えた。
「サクヤ、まるでぃ………何だって?」
「え?あぁ、《
終焉存在
(
マルディアグラ
)
》というのは、ケットシーのフェンリル隊隊長に与えられた二つ名のことだ。その実力から、ケットシーの最終兵器とも呼ばれている…………」
サクヤの言葉は、リーファはもう半分聞いていなかった。
なぜなら、サクヤの言葉にあったフェンリル隊というのは、リアルで言えば一国家の軍隊と並び立つものだからだ。
ケットシーの最終戦力と呼ばれているのは、主に二つ。
天空を支配する飛竜に手綱を通した
竜騎士
(
ドラグーン
)
隊。
地を駆け、大河をも一跳びに越える巨狼を従える
狼騎士
(
フェンリル
)
隊。
切り札として厳重に秘匿され、スクリーンショットすら流出したことのない伝説の戦士達。レンの実力から、かなりの手練れとは思ってはいたが、その一隊の長と言うのはさすがに完全なる想定外だった。
改めて視線を、これまでとは少し異なる色合い
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