第十話 〜捜索〜
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情報に内心歓喜した。
『え、えぇ…。実はそちらに…』
『なに!?』
兵士が先程出てきた兵糧の影に指を指す。
すると兵士数人がその物陰へと姿を消し、何やら大きな物を運んでくる。
『あ、豪帯様!』
そしてその大きな物は紛れもない豪帯様であった。
だが、その姿は両足と両手が縄で縛られ、目には周りが見えないように目隠しがされていた。
私は直ぐに駆け寄った。
『な、なんとおいたわしい…ッ!』
『こ、これは洋班様の命で仕方なく…ひっ!』
私は兵士の言葉に思わず睨んでしまっていた。
だが、冷静に考えてみれば兵士達はあの洋班に逆らえるわけもなく、また相手が洋班であればこれくらいするのは予想できた事だ。
私は私自身を宥めた。
『…直ぐに縄を解け』
『は、はい!』
目の前で兵士達が縄や目隠しを緩める。
しかし、冷静になってみれば尚更この兵士達が豪帯様をこの天幕で保護していた理由がわからない。
敵兵に降伏の手土産にするにはこの者達は豪帯様を知らないようだが…。
『お主ら、何故豪帯様をここで?』
『は、はい!実は我々も真っ先に逃げようとはしたのですが、このままではこの方が陣内に置き去りにされてしまうのでは無いかと思い…かと言って彼をここまで連れて来たはいいものの彼を連れて逃げ切れるかどうか…』
成る程。
要するに彼らは豪帯様を連れて逃げ切れるかどうかがわからずここで手をこまねいていたという事か。
そのまま豪帯様を連れてさっさと逃げてくれていれば良かったのだが、そうで無くてもこの兵士達には感謝せねばな。
『…お主ら、先程はすまなかったな。改めて礼を言うぞ』
私は馬から降りて首を垂れた。
『い、いえ!とんでもございません!頭をお上げください!』
兵士達は自分よりも上の人間に頭を下げられて慌てていた。
…だが、いつまでもこうしてもいられない。
私は改めて頭を上げた。
『…して、そんな主らに頼みたい事がある。良いか?』
『は、はい!何でも仰せください!』
兵士達は先程の行為に相当感慨深かったのか私の頼みにしっかりと反応してくれた。
これなら任せて大丈夫そうだ。
『主らに関まで豪帯様の護送を頼みたい。頼めるか?』
『はっ!…ただ、貴方様はどうなさるのですか?』
兵士は最初から私が豪帯様を引き受けるものばかりと思っていたのか、豪帯様を預けた後の事を聞いてきた。
『私はここに残ろう』
『…殿ですか?』
『あぁ』
そうだ。
私の任務は最初から味方部隊の援護、または殿なのだ。
それに豪帯様も見つかった今、尚更馬を持たない兵士達に任せたのだから時間を稼がなくては。
兵士達の顔には"心配"の二文字が浮かんでいた。
『なに、気に
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