第十話 〜捜索〜
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に埋まる刃が、事実に起きてしまったのだと物語っていたからだ。
『…化け物だ』
そんな言葉が漏れてしまっていた。
『はぁ…はぁ…!』
何とか先程の敵将を巻いたようだが、随分と陣より端の方に来てしまっていた。
そこには既に敵の姿は薄く、また、敗走兵の姿を良く見かけるようになる。
…だが、何故かその敗走兵達に違和感を覚えた。
何というか、逃亡にしては数が多く、退却にしては数が少ないというか…。
だが、どの道時間が無い事だけは察する事ができた。
私は縋る思いで天幕の入り口を広げた。
『豪帯様!』
…だが、そう上手くいくわけも無く、そこには微量の兵糧があっただけだった。
『…クッ!』
私は苦々しくも天幕を離れようとする。
『ま、待ってください!』
『!?』
だが、突如気配の無い天幕の中から声がした。
私は薙刀を構えた。
『そこにおるのは誰だ!』
『わ、私は味方です!』
すると、兵糧の山の影から数名の兵士が出てきた。
だが、見た所兵糧番の様には見えない。
…では略奪か?
だが、ならば何故私を引き止めるのか。
私は不思議に思いながらも近付いて来る兵士達から少しでも情報を引き出せないかと内心すがり付く思いで訪ねた。
『お前達はここで何をしておる?見た所兵糧番では無いようだが…』
『はい、我々は前線で洋班様の側で共に敵兵に当たっていたのですが…』
そこで兵士達の顔色が歪んだ。
なんだ?
『…洋班様は戦況が芳しくないと見るや否や撤退命令は出されず、我々に殿を任せると言って黄盛様と共に退却されて…』
『…なんと愚かな』
先程の違和感の原因はこれだったか。
部隊の大将の敗走を知らぬ者が健気にも敵に当たり、偶然にも敗走途中の大将を見かけた者が逃げ始めている状況らしい。
そして彼らが撤退命令を出さなかった理由は、統率が取れなくなってバラバラになった部隊の中で殿を任せられる戦力がなく、変わりに"囮"という方法で残った兵士達に時間稼ぎを期待したからだろう。
…しかし、戦の大将が2000もの自分の兵士を戦場に置き去りにして逃げるとは。
人の事は言えないが、上がこれではついていく兵士達の事を思えば不憫でならない。
そしてそんな人間の為に駆け付けた我々は一体…。
『…あの』
『ん?なんだ?』
私が頭を抱えている所に先頭の兵士が声をかけてくる。
そうだ、まだ本題を聞いていない。
我は直ぐに頭を切り替えた。
『先程の…豪帯様と呼ばれる方は子供でございますか?』
『何!?お前達!豪帯様の場所を知っておるのか!?』
失礼だが"子供"と呼ばれて間違い無く豪帯様だと確信できた。
私は思いもよらない
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