第十話 〜捜索〜
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するな。私はこういった事は慣れておる。それに私一人では無いからな』
兵士達の心配を除くと同時に頼れる自分の部下の存在も知らせておく。
これなら万が一何か退却に不具合が起きても豪帯様を足手まといと道に放置する事は無いだろう。
まぁ、彼らにいたってその心配は必要なさそうだが。
『…わかりました。どうか御武運を』
『あぁ』
私はそう言って天幕を出た。
さぁ、ここからが腕の見せ所だ。
今までは平和の中で必然的に振えなくなっていたこの薙刀。
そして今最重要であった豪帯様の護送も任せる事ができた。
これで久々に武将としての本懐を成す事ができる。
殿。
それは敗軍の中でただ唯一敵に当たる役目。
死亡率で言えばそれこそ常戦の比では無い。
しかし、だからこそ勝戦よりも重責であり、また武将の武が最も輝く瞬間でもある。
私はこの殿の中で何とも言えない高揚感に見舞われた。
私は勢い良く馬に跨ると、陣内に散開した味方勢を集めに中央へと馬を走らせた。
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