崑崙の章
第7話 「いっただっきまーす!」
[8/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
それならばわしの真名も預かれぃ。わしは桔梗じゃ!」
「あ、はい。盾二です……よろしくお願いします。紫苑さん、桔梗さん」
「たわけ! 呼び捨てんかい! ですますもいらん! よいな、盾二!」
「そうですよ。盾二様」
「え? いや、様って……いいんですか?」
くすくすくす。
盾二様が顔を真っ赤にしながらうろたえる姿が可愛い。
「何ならご主人様とでも呼びま――」
「い、いえ! 盾二様で結構です!」
「あら?」
「ふぁっはっはっは! わしは呼び捨てにするからの! お主もわしを呼び捨てよ、わかったな、盾二よ!」
「は、はあ……じゃあ、桔梗、紫苑。今後ともよろしく!」
「うむ!」
「はい」
わたくしは笑顔で応えて盾二様の盃にお酒を注ごうとする。
と……
「盾二! そんな小さい盃でちまちま飲むでない! これを一気で飲め、いっきで!」
そう言って桔梗がどん、と瓶を置く。
って、桔梗!
それ白酒じゃないの。
「ええ!? いや、俺はそんなに酒強くないし……普通に飲む分はいいけど、飲みすぎると記憶なくすんですよ!」
「よいではないか! 明日は劉表殿に面会するのも日が天頂から傾く頃じゃ! 十分寝ていられるぞ!」
「いや、だから、深酒は――」
「ええい、やかましぃ! 飲め、飲んでしまえっ!」
「ゴボッ!? ごぼごぶごぼぼ……」
あああ……
止める間もなく無理やり瓶を盾二様の口に押し込んで……
白酒は、特に強いお酒なのに……
「ごくごくごくごく……げふっぅ…………」
バタン!
白酒の瓶を殆ど空にして、口から離した盾二様。
そのまま倒れるように台に突っ伏してしまいました。
「ふむ……飲ませすぎたかの?」
「桔梗……貴方やりすぎよ? このお酒強いのだから、無理したらダメじゃないの!」
わたくしは、水を入れつつ盾二様を抱き起こす。
顔から火が出るのではないかというほど真っ赤になった盾二様は、呂律が回らないことを呟きながら唸る。
「大丈夫です? しっかりなさってください。お水を――」
わたくしが、盾二様にお水を少し口に含ませる。
すると、少し口がもごもご動いた瞬間。
「う……ふひひ」
「え?」
「お?」
突然、にへらっと笑い出す。
「へへへへ……ひっく……かわいいにゃあ……」
「え? え? ええ?」
「お、おおう……」
だらしなく真っ赤になった顔を垂れさせた盾二様。
さっきまでのどこかきりっと整っていた顔が、見事に崩れている。
「あ、あの、盾二様? お水を……」
「うん、飲む。飲ませて!」
……もしかして、幼児退行なされてます?
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ