崑崙の章
第7話 「いっただっきまーす!」
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……は」
そう言って、カッカッカと笑う劉表。
俺は苦笑しながら、ぐいっと盃を煽る。
「!! カハッぁ!? げほっげほげほっ!」
「カッカッカッカ!」
このクソじじい……
その酒は、めちゃくちゃ強かった。
―― 黄忠 side ――
劉表様との面会の夜。
詳しい状況をまとめる為、明日の昼過ぎに再度、劉表様に拝謁することになったわたくしたち。
ともあれ大きな問題は解決したとして、わたくしと桔梗、そして北郷さんの三人で祝杯をあげることになりました。
「いやあ、正直助かりました……お二人にも無理を言ってすいませんでした」
「まあ、わしも少々肝が冷えたぞ。劉表殿の寛容さがなければ成功しなかったのではないか?」
北郷さんは、頬を掻きつつ頭を下げる。
桔梗はそれに口を挟みながらぐいっと盃を煽った。
「分の悪い賭けだとは思いました。けど、黄忠さんの話から決して暗愚ではないと思いましたし。ならば利を提示しつつ、その寛容さに甘えた方がうまくいくのではないか、そう思ったんです」
「じ、実は危ない橋だったのですか!?」
あれだけ自信たっぷりだったので、もう少し勝算があると思っていたのですが……
「成功する可能性は十分にある、そうは思っていましたよ? 黄忠さんの話では寛容であり、内政を考えて部下も兵も大事にする。あと、太守の処遇でも恩給与えて放逐という考えを、黄忠さんがすぐに答えられるほどならば、いっそ相手に処遇を預ける方が安全じゃないかとも思いました」
「ふむ……」
「それと猜疑心が強いとも仰っていました。ならば言葉の裏も読もうとするでしょうから、利を示すことができれば、部下への寛容さを示す為にも最悪でも放逐ぐらいで済むだろうと思っていましたよ」
「……そうですか」
「ただ、それでも激昂してあの偽造書を破られたらどうしようか、という不安がありましたけど……」
「……わしなら破ったかもしれんの」
「……厳顔さんじゃなくてよかったですよ」
確かに偽造した公文書など、打ち首にあってもおかしくはないほどの大罪。
あの場で三人とも打ち首にされても文句は言えなかった。
「でも、劉表様は破らなかった。それは黄忠さんを兵も文官も認めていたこと。実際に錦帆賊を捕らえたこと。裏切り者は、自分が任命した太守であり、しかもその太守が他領の太守である厳顔さんを殺そうとしていたこと……劉表様にとって俺達を殺す、ということは自身の風評にも大きなダメージ……弊害がありました。下手をしたら白帝城の人心が離れた上に、黄忠さんがもと治めていた夷陵、そして厳顔さんの巴郡との戦争の火種になったかもしれませんからね」
「つまり……劉表様にとっては、その手に乗らざるを得なか
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