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駄目親父としっかり娘の珍道中
第19話 マヨネーズとタルタルソース、どっちが好み?
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 坂田銀時達が異世界へ転移したと言う報せは直ちに江戸中へと出回っていた。そして、その報せがいの一番に回ってきたのは勿論此処、江戸の平和を日夜守る武装警察真選組の屯所にであった。

「ほぉ、あの万事屋がなぁ――」

 屯所内において自分の刀の手入れをしながらも、土方は出回った情報を耳にしていた。にわかに信じられない情報ではあった。だが、あいつらならそんな事も有り得るだろうと思ってしまっている自分が居た事に気付き、ほのかに苦笑いを浮かべてしまう。

「あ〜らら。土方さんったら刀を磨きながらにやけるなんざ人として終わった証でさぁ。このまま殺人鬼に陥る前にその首を叩き落しときやしょうか?」
「てめぇは何時もそう言う事しか言えねぇのか?」

 そんな事を言いつつ、狭い部屋内で沖田と土方の双方が激しく切りあい始める始末。その切りあいは凄まじく、剣の一閃がきらめく度に部屋に置かれた掛け軸やら壷やらが見事に破壊されていく。

「おいおい、お前等いい加減にしろ! 屯所を壊す気かぁ?」

 そんな二人を止められる唯一の存在。それは真選組内に置いて彼以外にはあり得ない。
 その声と共に二人と同じ部屋に入ってきた近藤を見るなり先ほどまで激しく切りあっていた双方が素直に刀を鞘に納める。暴れ者の二人でもこの人に逆らう事はあり得ないのだ。

「万事屋の事なら俺も聞いた。しかしまさか異世界とはな。にわかには信じられん話だ」
「大方、町民が騒ぎ立てたデマだろうよ。気にするだけ時間の無駄だ」
「だが、聞いた話によると例の万事屋が養っているなのはちゃんが突然倒れたって話だぞぉ?」
「あの栗毛がかぁ?」

 銀時が養っているなのはの事は江戸では有名な話であった。あのちゃらんぽらんで金銭感覚に絶望的な銀時の娘があんなしっかり物だと言う事が江戸ではちょっとした都市伝説にもなっていた。
 その上、なのは自身しっかりした一面を持ってる傍らで何処か子供っぽい一面を持っている為か大人子供問わず人気があり、何時しかなのはは江戸の顔の様になってしまっていたのである。
 そして、そのなのはが自分達が出した依頼の為に倒れてしまったとの報せが江戸中に響いている。

「土方さん、この話を放って置いたら流石に不味いんじゃないんですかぃ?」
「まぁそうかもなぁ。俺達が出した懸賞金の為にあの栗毛の身にもしもの事があったなんて事が公になったら、それこそ俺達真選組は格好の叩き的になる事になっちまうな」

 正しくは懸賞金を出したのは真選組ではなく江戸幕府である。だが、世間の目から見れば懸賞金を出したのは真選組と言う形となっている。
 そして、その為に江戸の顔とも言われているなのはが倒れてしまった。
 その事実が公になってしまえばそれこそ真選組の顔に泥を塗る事になってしまう
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