第17話 綺麗な思い出でも他人が持ってると意外とジェラシー
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
せて貰うから」
不気味な笑みを浮かべながら、プレシアは自分の手が固い何かに当る感触を覚える。金属にも似た感覚。どうやら辿り付いたようだ。
プレシアは迷う事なくその金属感を強く握り締めた。後はその金属を体外へと取り出すだけである。その過程でこの子が死んだとしてもそんな事知った事ではなかった。
だが、その直後であった。突如として掴んだ筈のジュエルシードが激しい光を放ち、プレシアの手を拒絶し始めたのだ。
「な、何!?」
突然の予想外の出来事に驚くプレシア。光は益々強くなっていく。まるで、プレシアに対し早く手を離せ、と言っているかの様に。
それでも、プレシアは手を離そうとしなかった。尚も強引にジュエルシードを引き抜こうとする。しかし、体全身に根を張ってるだけありその力は強大であり、中々引き抜けない。
その間にも、光はやがて突き刺すような痛みへと変貌していく。このジュエルシードは間違いなくプレシアを敵視しているのだ。害敵と判断したジュエルシードが無理やりにでもプレシアを排除しようとしている。
がプレシアも負けてはいない。更に手に魔力を込めて引き抜こうと力を込める。
互いが一進一退の攻防を続けた。正にその時だった。
突如激しいスパークと共に、プレシアの脳内に何かの映像が流れ込んでくる。
一面真っ白だった光景は徐々に晴れて行き、其処に映し出されたのは何処か古臭い町であった。
(何? これは……まさか、この子の記憶?)
薄暗い町並みから察するに、どうやらその町は夜であったようだ。そして、とある二階建ての建物の外階段。その位置に突如不可思議な発光が発せられる。
何もない場所から突然光が発せられ、その光が止むと、其処には一人の赤ん坊が姿を現していた。
(この現象……そう、この子もまた……『アレ』に巻き込まれた子だった。と言うのね……それにしても――)
プレシアの目の前に映し出された映像。それは異なる世界に飛ばされた赤ん坊のなのはが坂田銀時と言う男に拾われた頃の光景だった。
その光景は誰が見ても幸せな親子の光景に見えた。その光景がプレシアには快く映らなかった。
本当の親子である筈の自分達がこうも辛い思いをしていると言うのに、全く血の繋がりのないこの二人が親子として幸せな時を生きている。その光景がプレシアにはとても歯痒く見えた。
(憎らしいわね。私達がこうも苦しんでいると言うのに、この子達は私が得る事が出来なかった時を享受している。本等なら私達がそれを受けられる筈だったのに……本当に憎らしいわ)
プレシアの中に沸々と芽生える感情。それは嫉妬であった。
本来自分達が得られる筈であった幸せな時。その時を全く関係のない筈のこの二人が享受している。その光景がとても憎らしく見えた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ