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アイーダ
第三幕その三
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は背けたままであった。
「決して」
「偽りの誓いだと」
「私は誇り高き方を愛そうとしました」
 ラダメスから顔を背けたまま言う。
「けれど偽りの誓いを述べる人を愛そうとしたことはありません」
「ではどうすればいいのだ」
 ラダメスはその彼女に問う。
「私は」
「どうされるのですか?」
 ここで顔をラダメスに向けてきた。そのうえで彼に問うてきた。
「王女様もファラオも祖国も。どうされるのですか?」
「聞いて欲しい」
 アイーダの目をじっと見て言う。
「私はまた戦場に赴くことになった」
「戦場に!?」
「そうだ、エチオピアの戦士達はまた立ち上がった」
 そうアイーダに述べる。実はエチオピアでは新しい王が立ったのである。言うまでもなくえイーダの血縁の者である。彼女はそれが誰かすぐにわかった。
「兄上が」
 ふと呟いた。
「今何を」
「いえ」 
 その言葉は誤魔化した。また顔を背けさせた。

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