一章 六話 とある二人の黒い人達
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して、と思っただけなんだけどさ」
ありゃ、俺の行動パターン、読まれてる?
「勘違いならいいんだけど」
低姿勢で引いていくキリト。
うーん。
少し考えて、俺は口を開く。
「何て言うか、友達の話なんだけどな。」
「あれ、ラーク、誰かとフレンド登録したのか?」
「黙って聞いてろ!」
ゴホン、とわざとらしく咳払い。続ける。
「もしさ、何か取り返しのつかないことをしちまってさ、誰かをむちゃくちゃ泣かせちまったらさ、お前なら・・・どうする?」
「熱でもあるのか?」
奇妙な物を見たような目。失敬な。
けど・・・・
「そうかもしんねえ」
珍しく真面目な俺に、キリトも冗談の類いではないと察してくれたらしい。
黒い少年は、少し目を閉じて・・・・
「そうだな・・・」
口を開きかけた。
その時だった。
「・・・・・先輩?」
この声、この呼び方。初めて会ったときとは、テンションも含む感情も違うが、この世界には、たった一人。
蒼い。本当に。蒼い空のように澄みきっている。
その顔には、驚きと戸惑い、迷い。
会いたくなかった。会うべきだと思っていた。
「”妖精”・・・・・」
「え、知り合い?」
キリトだけが状況についていけず、戸惑っている。
けだ悪い。構ってる暇ない。
無言。
視線と視線が交わる。
硬直。
どうする、どうする。
何を言えばいい。
くそ、わっかんねー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちっくしょ、なるようになりやがれ!!!!!
「悪かった!」
彼女が口を開く前に先手をうってさけぶ。
こんな事で許されるとは思っていない。
許されていいはずがない。
許されたいと思うことすらおこがましい。
けど、これしかできないから。
人付き合いの経験の少ない俺には、謝るしかないから。
だから、何度でも謝り続けよう。何度でも頭を下げ続けよう。
彼女の気がすむまで。
彼女が処刑を望むなら、それさえ受け入れるつもりで。
レッドを殺した事を謝るつもりはない。
これまでに殺してきた奴等にも、申し訳がたたないから。
けど、それで。それで何の関係もない彼女を傷つけてしまったのだとしたら・・・・
「・・・悪かった。」
何度でも。
「・・・・」
下げた頭の上で、彼女が何か言いかけた気がした。
けれど、すぐに口を閉じる。
そんなことが何度かあって・・・
「・・・・明日8:00です。」
絞り出すような声が聞こえた。
「明日8:00、四十五層に来てください」
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