ドーラちゃんの脱出☆大作戦
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に聞こえないほど可愛がっている、まだ幼い娘の、ドーラちゃんをだ。
一人娘で、あれほど可愛らしいとなれば、多少、いやかなり、いやいや相当な親馬鹿……!ゴホン、子煩悩になるのも致し方無いというものだが、だからこそこの頼みは解せない。
しかし、パパスさんの真剣かつ思い詰めた様子に、事情を聞くことも出来ず、ただ了承した。
そんな事情で今、いつも通りに洞窟を見張りながら、ドーラちゃんが来るのを待っている。
今日来るとも限らないが……お?
あの、遠くに見えるのは、正しくドーラちゃん!
幼女趣味は無い俺でも、将来どれ程の美女になるものかと期待して見守ってしまう、いや、そういった対象としてで無くとも可愛らしさに思わず頬が緩んでしまう、あの美少女ぶりは、間違い無い!
……さて。
気を抜くと視線を向けてしまいそうになるので、意識してさりげなく視線を外すか……。
……おかしい。
視線を外していても、気配も消せない女子供が通れば気付かないはずが無いのに、一向に通り抜けた気配を感じない。
……人の気配!
来たか!
意識して振り向かずにいた俺に、気配の主が声をかけてくる。
「これは、これは。いつも、ご苦労様です」
……この声は!
この、人の良さそうなテノールは!
顔に似合わず意外と良い声の、これは!
間違い無い、少なくともドーラちゃんでは無い!
「……サンチョさん。洞窟に、ご用ですか?」
「ええ。旦那様にお聞きでしょう、うちのお嬢様がいらしてますのでね、こっそりと。様子を見に」
「ドーラちゃんなら、通ってはいないようだが?」
「いえいえ、間違い無く入って行かれるのを、この目で見ましたから。急ぎますので、これで」
せかせかと洞窟に向かうサンチョさんの背中を見送り、思う。
いくら、パパスさんの娘とは言え。
ろくに戦闘もしたことが無い幼い少女の気配を、仮にも戦士の端くれであるこの俺が、見逃したというのか……?
……最近、弛んでいたかもしれないな……。
留守にすることも多いとは言え、パパスさんの強さを、無意識に当てにしてしまっていたか。
いかんいかん、いざという時に村を守るのも、仕事のうちなのだ。
精進せねば。
まずは、素振りでもするか。
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