転校生
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安土山さんがいなかったら今教室で転校生と会えたかどうか分かんないよ!!
「はい、これが家の敷地内に居たので仕方なく案内してきたんです」
駄目だ、完全に流されてる。
………ま、別にいいかな、僕に関係のあることでもないし。
「ごめんなさい、安土山さん」
その転校生は下げた頭も上げずに安土山さんに謝っている。
災難だな転校生、安土山さんは他人にも自分にも厳しい人で言葉がきついし一緒にいると何かと疲れる、でも自分が遅刻してまでも人の面倒をみる、優しい人だったりもするんだけど。
「そうか、なら安土山は遅刻にはしないでおくよ、他の先生には内緒だぞ」
甘いな先生。ばれたら退職させられるんじゃないかな?
「別にそんな事する必用はありません」
強情だな安土山さん。相変わらずの優等生だ。
「あの、自己紹介……してもいいですか?」
すっかり蚊帳の外だな転校生。……あらためてよく見ると結構可愛いな、目はパッチリしててショートへアも似合っていて元気なスポーツ少女って感じがして。
「ああ、スマン、とりあえず安土山は席に座れ、改めて今日から二ーBに転校した水瀬一美さんだ」
そう言いながら先生は黒板に名前を書く。
「親の事情でこちらに引っ越してきた水瀬一美です、よろしく」
ざわざわっっ!!(クラス中がこっちを向く音)
クラスが一斉に僕の隣の席を見た。……えーと?みなせかずみ?……水瀬君と同姓同名!?…下は漢字が違うけど。
「いやぁ先生もビックリだ、まさか水瀬と同じ名前の奴がこのクラスになるなんて」
僕は隣の席の水瀬君を見ると何故かニヒルに笑っていた。
「三流のネタだな、俺だったらもっと面白く出来る」
彼は何故現実と張り合っているのだろうか?確かに面白くないけど。どっちも
「席はそうだな、木崎から一つずつ後ろに下がれ」
……桜先生……もしかして、その転校生の席を水瀬君の隣にするの?
「で転校生の水瀬は空いた席に座れ」
うん、やっぱりか。なんて漫画チックなんだろう、まるで面白くはないけど。
「ふぅ、四流のネタだな」
だから何と張り合ってるのさ?
「よろしくね、えーと水瀬君」
気がつくと転校生は席に着き水瀬君に挨拶していた、それに対して彼もよろしくと返した。元気で陽気な印象のその転校生とのファーストコンタクトはすごくグダグダだった。そのせいでこの時の僕はまだ気付けずにいた。一つの違和感に。
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