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アイーダ
第二幕その五
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 ファラオはそれを聞いてラダメスに顔を向けた。そのうえで彼に問うた。
「それは」
「行方は知れませんでした」
 ラダメスはそう答える。
「しかしそれがまことならば」
「我等が王はもうおられませぬ」
 アモナスロはそう告げる。
「ですが我々はここにいます」
 そして次にこう言った。
「我々は」
「その通りだ」
 ファラオもそれに頷く。
「そなた達は確かに今ここにいる」
「はい、その私達からの願いです」
 アモナスロはそうファラオに呼び掛けた。
「我等に寛容を」
「寛容をか」
「そうです」
 アモナスロはファラオを見上げて言う。
「どうかここは。是非共」
「そうです」
 他の捕虜達も言う。鎖に繋がれているがそれでも言うのだった。
「どうかここは」
「ファラオの寛容を」
「ファラオよ」
 ランフィスがファラオに顔を向けてきた。首だけだったが身体が大きく捻られていた。
「なりません。この者達は奴隷にするか処刑しましょう」
「その通りです」
 他の神官達も言う。
「然るべき賠償がない限りは。ここは」
「ふむ」
 ファラオは彼等の言葉を聞き左手を顎に当てた。そのうえで思案の顔を浮かべてきた。
「奴隷にすべきかと」
「御慈悲を」
 だが捕虜達は諦めずに彼に訴えかける。

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