第一話
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ホアンは議員を辞めなかった。人的資源委員会委員長は解任されたが、同盟国憲章の件でレベロと反目したことは政治活動を止める理由にはならない。一度辞職し改めるのも手の一つだが、今の同盟の経済は非常によくないため少しでも間をおくべきだはないという判断になったためだ。
ホアンとレベロが袂を半ば分かった後でもレベロはホアンを招いた。ホアンは関係の修復についてと期待していたがそうではなかった。帝国がヤン退役元帥を反和平活動防止法に元づき逮捕しろと勧告してきたことについてだった。レベロはそれを受け入れヤンを逮捕すると言い、ホアンはそれに反対した。前者は帝国に戦争の口実を与えるわけには行かないと言い、後者は法の遡及適応だと主張した。話し合いが行われたがお互い平行線で結論は出なかった。
初めホアンはヤンの件をしばらく保留にするつもりだった。自分は一議員でレベロは最高評議会議長だ。おそらくレベロはヤンを逮捕するだろう。とはいっても所詮無実の罪であるから帝国へのパフォーマンスとして取りあえず逮捕しましたよで済ませると思っていた。ヤン個人の人権は多少損なわれるが、同盟国内で逮捕程度ならまだいくらでも取り返しがつくとも思っていた。よくない事だが後で釈放し謝罪なり何かすればヤンの人柄からして許してはもらえるだろう。
この時ホアンは自体を正しく認識していなかった。それは単にレベロが帝国の勧告でヤンを逮捕するとだけ言ったからだったので、ホアン自身が楽観視していたのも含めても正しい認識を持てなかったのはしょうがないのかもしれない。
帝国の勧告の正確な内容は「反和平活動防止法に元づきヤンを逮捕し帝国に引き渡すこと」で帝国に引き渡したら取り返しがつかないとうこと、レベロ自身がヤンに対し疑心暗鬼に陥っていたこと、後にレベロにヤンをよく思っていない前政権からの官僚オリベイラから過激な進言がなされていたこと。これらのことを知らなかったからこそホアンは事態を楽観していた。
レベロに相談半日後、ホワンはヤンのことを頭の隅に追いやり、自分の新しい事務所で他の政務に励んでいた。人的資源委員会委員長の頃使っていた事務所より小さく、また職員も少ないが政務には支障ををきたさないだけの機能はそろっている。そこへ見知った顔が現れた。見知ったといっても名前はしらない。ただその人物の役職は知っていた。
「議長の秘書が何の用事ですか?」
この時もまたホアンはレベロが自分と和解する気になったのかと考えていた。が次の秘書官の話は和解どころか、今後一切レベロとホアンのの関係を断ち切ることを決定づけることになった。
本来優秀っであったはずの秘書は苦渋の表情を浮かべ話をした。内容はレベロはヤンを逮捕しその上で忙殺しようとしていること、そして翌日にもヤンを逮捕するように指示していることだった。
ホアンは
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