一日目(1)
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。どんな詐欺だよ、僕の勇気を返せ!
「ところでさっきからその右手に握り締めてる青い便箋は何?」
僕が一人で世の中の不条理を憎んでいるとこずえが僕の右手を指差す。その指先には……ガッチリ握り締められた唐橋さん宛てのラブレターがあった。
「ホワイ!?」
何で?なんで?ナンデ?僕のバカァ!な・ん・で僕が持ってんだよ!そりゃ来るはず無いよ!一体僕はこの三十分間誰を待ってたんだよ!
「誰が来るはず無いの?」
聞・か・れ・て・たぁ!どうするんだ僕!考えろ、落ち着け、大丈夫だ。この女は昔から鈍感だ。今から僕の巧みなトークで挽回してやるぜ。
「……大樹ってさぁ昔から自分の考えが口からだだ漏れだよね」
しまったぁぁぁぁぁぁぁぁ。あぁこずえの視線が痛いぃぃぃぃぃ!
「えっと、、それってもしかしてラブレター?」
ななななんで分かるんだよ。
「ち、違うよ!これは………」
「これは?」
疑惑の目でじぃぃっと効果音がつくくらい僕を見た。おいなんなんだよこの状況?ええい!!ままよ!もうどうにでもなれ!
「は、果たし状だ!」
こずえの顔が興味しんしんから一転して「ええぇぇぇぇ?」と若干引いたように後ずさる。
しまった、適当過ぎた!
「へぇそうなの、だったらあたしは邪魔だよね、じゃさよなら」
あからさまに僕を蔑む目で見て、そそくさとその場からこずえは僕から離れていく、一度だけ振り返り敬語で
「気持ち悪いから、今後話しかけてこないでください」
拒絶された。
「嘘です!冗談です!ごめんなさーい!」
何故か平身低頭で謝っている僕だった。
朝のニュースキャスターのおねーさん、今日の僕のラッキーアイテムってなんでしたっけ?今、用意できるものだといいな。
雲の無い青空を見上げて僕は現実逃避した。
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