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SeventhWrite
一日目(1)
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ら脳内で何回も告白するシミュレートを繰り返し、よしっ!バッチ来い!とまで気合を込めた。
 それなのに約束の時間に僕の目の前に現れたのは何故か唐橋さんではなく幼馴染みの近所に住む月村梢(つきむらこずえ)だった。
「っ何でだよ!?」
 と突っ込んでから、彼女の左手にある見覚えの無い桃色の便箋が握られていることに気付いた。もしや、誰か違う奴と告白の時間と場所が重なったのか?確かに客観的な目で見るとこずえは美人だ、いや待て、だったら彼女の相手が来ているはずだ!相手を呼び出しておいて遅れてくる奴などいないはず、そうだ落ち着け、冷静になれ僕!
「ねぇ大樹(だいき)、この手紙を書いたのって…」
「知らない!」
 即答した。すると緊張していたのであろうこずえはふぅと小さくため息をついた。そんな仕草もサマになっている。たった一つ年上とは思えないほど大人びていて美人だ。外見に関しては、そう外見だけは!!
「だよねぇ、大樹にそんな度胸があるわけ無いもんね、やっぱりただの悪戯かぁ、それで何でここにいるの?」
 うぐっ!
 い、言えない、ラブレターを書いたけどすっぽかされたなんて、なんかもう男として情けなくて言えない。
「ちょっと、一人になりたかっただけだよ、それにそっちこそ何でここにいるんだよ」
 こずえは顔を若干しかめながら左手の便箋を見せつけた。便箋には筆書きで恋文となかなか男らしい字で書かれていた。何時の時代だよ。
「どっかの馬鹿があたし相手に悪戯の手紙を書いてきてさぁ、ぶちのめしてやろうと意気込んできたんだけど」
 ………ぶちのめす?
「こずえさん、その手紙の内容ってどんな感じ?」
 脳が聞くな!聞くんじゃねぇ!!とアラートをガンガン鳴らしているが好奇心が勝り、つい聞いてしまった。彼女は少々男勝りな性格で気に入らないことには暴力で解決しようとする悪癖があるのだ。しかも凄く強い。好奇心は猫を殺すって奴。うかつなことを言うと痛い目を見るのだ。
 後悔?そんなもの、後でするさ!
「この手紙の内容?ええと
 『拝啓 月村梢殿、突然このような手紙を送りつけた非礼を許してもらいたい。この度某(それがし)は貴殿のあまりの美しさに筆をとった所存である』
 って文から始まって七枚ほど筆書きで書かれてるの」
「どこのどいつだよ!?そんなふざけた手紙書いた奴!僕がぶん殴ってやる!」
 いやいや殿って女子相手にそりゃねぇだろとか言い回しが古臭いとか某とか名乗ってんじゃねぇとかなんで桃色の便箋を使ったんだよ!とか突っ込み所満載だった。決して知り合いでは無いことを祈る。
「ええ、あまりにふざけてるからどこの馬鹿野郎かと気になって、思わず来ちゃったんだけど、そしたら大樹が居るからビックリした」
 僕だって唐橋さんが来ると思っていたのにこずえが来てビックリだよ
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