第一物語・後半-日来独立編-
第四十一章 秘めし決意《1》
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理解出来無かった。
自分達は弱いから代わりにやってくれ。こんなことを言っているのだから。
他人任せ、と言う言葉がよう似合う。
日来は、そんなことのために独立しようとしたわけではない。
「何言ってるのかなあ……。屈するよ、日来だって。強いわけじゃないんだからさあ。
日来の地が無くなるのが嫌で皆、頑張ってここまで来て、自分達の長のために君達の長を救うわけでさあ。そりゃあ誰だって強いものには逆らいたくないよ。怖いもん」
『そうですよね……』
「辰ノ大花はただ自分達が損したくないから動かないだけ。日来をどっかの貿易相手と取っ替えっこすることを勝手に進めて、日来が気が付いた頃にはもう準備が出来てる状態で。それでもやっとここまで来れた。
それなのに汚れ役を日来に押し付けて、また辰ノ大花は日来を踏み台にする」
焼かれるような感覚を得ながらも、平然とマギトは振る舞う。
威厳を見せるためだ。
日来であっても抗えるのだと、示すために。
「逃げて逃げて逃げてさあ。そんな最後に何が待ってるか、考えたことある?」
『それは……』
問うが、答えは返ってはこなかった。
なら言おう。
「きっと誰もが何もやらないよ。他人任せで、きっと誰かがやってくれるって。その“きっと”を何時までも待ち続けて、結局誰もやらないから何も進まない。それで待つのは衰退だけ」
『なら! 進み、抗った先に絶望が待っていても、逃げるなと言うんですか!』
「言わない! 日来で生きた皆はそんなこと言わない。その絶望さえも、乗り越えようとするから!」
『辰ノ大花は、日来みたいに強くありません……。しょうが無いじゃないですか。もう、そうなってしまったんですから!』
「だから逃げるんだ? そうやって自分達は弱いからって理由で」
『そうですよ! 弱いから強いものが怖い! 貴方達だってそうでしょ!』
「そうだよ。でも私達、日来は――」
●
辰ノ大花の西貿易区域北側。
日来の社交院による戦闘が行われ、北側は手薄だったためか苦戦しながらもなんとか結界へ辿り着いた。
それまでは良かったが、
「おいおい、大人なそんなんでいいのかよ? もっとやり甲斐があると思っていたぜ」
「九鬼先輩、余裕ぶっこいてると危ないっすよ」
「ああん? チビは黙ってろよ。て、あれれ? おチビちゃんがいないでちゅよお? 何処行ったんでちゅかあああ?」
「ウゼエエ……マジでウゼエ。なんでこんな奴が先輩なんだよ、ったく」
「なんか言ったかテメエ」
「なるンすか? 後輩相手にやるンすか?」
瓦礫の上にいる左胸に月と桜の校章を付けた学勢二人が、周りに社交員が地に伏せたり仰向けになったり散らばっているなかで睨み合う。
一人は甲殻系魔人族。身長はニメートル以上もある大型で、鬼
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