第一物語・後半-日来独立編-
第四十一章 秘めし決意《1》
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上空に一人の魔法術師がいる。
マギトだ。
高笑いを終え、今は下からこちらへ来る騎神を見詰めていた。
頭部は損傷しているが、動きを見る限りは痛手にはなっていないようだ。
さすがに魔力を充填しただけの砲撃では、そう簡単にはやられなかった。
だが、それは予想通りであった。
一撃で沈む程、騎神は柔ではない。
再び死闇|《デスダーク》に魔力を込め、宙に表示された棒状のゲージが赤に満たされるのを待つ。
既に三本のゲージが赤で満たされてており、今は四本目の中間手前だ。
先程は前に満たしていたゲージ二本分使った砲撃であり、四本目が満たされればそれが二回撃てる。
金翼を広げ、宙に浮くマギトは魔力を充填してある間、死闇を片手で持ち、もう片方の手を身にまとう黒の魔装のポケットに突っ込む。
そして引き出した手が握るのは、数枚の冷却符だ。
暖ノ魔力を使った際に、上がった体温を下げるために持ってきたものだ。
前髪を掻き上げ、一枚を額に。
胸元を隠すボタンを外し、一枚を胸元に。
後は後ろ首の付け根部分やらにだ。
ひやりと貼ると冷たく、それが心地好い。
だが冷えるのは表面部のみで、筋肉やら内臓やら内部は火照っている。
熱を吐き出すように息を吐き、冷たい空気を吸う。
「狙いはこのままに……」
四本目のゲージが赤に満たされると同時、騎神は下からこちらへ迫り、右手で納めていた流魔刀を振り抜いた。
標準を合わせながら、両の手で死闇を掴み固定する。
五、四、三と口ずさみ、零と言った瞬間に放った。
ゲージ一本分の砲撃は真っ直ぐに、騎神を穿つ軌道で行く。
『そんなものが効くものか!』
騎神は流魔刀を振り抜いて、迫る砲撃を切り裂こうとする。
だが起こったのは流魔刀の刃が欠けることであったが、見事に砲撃を自身から逸らした。
へえ、とマギトは関心しながら翼で空を飛んだ。
死闇をくるりと変え、銃砲口を後ろへ向かせ加速機とした。
噴かし、進む死闇に乗って身体を密着させる。
風による抵抗を少なくするためであり、この時に豊満な胸が邪魔になる。
柔らかいものが押し潰されるような感覚を胸から感じながら、高速で騎神に接近する。
「射撃モードで全弾にゲージ一本文の魔力を山分けで」
『リョウカイ。ダンスウ、ハ?』
「前の残りで事足りるっしょ」
『弾数/319』
会話機能により射撃モードへ移り、柄の先に射撃と映る一筆書きの六芒星を横にしたような映画面が表示される。
向かい打つ騎神も加速機を噴かせ、こちらとの距離を詰めに来た。
青の塵が残光のように光り、空に軌跡を残す。
正面。
一人と一騎は向かい合う。
「思ったよりも早く起きたねえ」
『やってくれたお礼に、今度はこちらがやってや
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