マザーズ・ロザリオ編
転章・約束
瞋恚の紅蓮
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規模ギルドの面々はただ驚くのみ。しかし、無理もない。
彼らを本気にさせるような事など今まで起こらなかったのだから………
呻いたサラマンダーに続き、前後の部隊の誰もが絶句、或いは感嘆のようなため息を吐く。
しかし流石に攻略ギルドを名乗るだけあり、反応は素早かった。前衛が武器を抜き、遊撃が弓矢やナガモノ武器を構え、後衛が今度は広範囲多数の敵を攻撃できる魔法の詠唱を開始する。
それに呼応し、キリトとレイが新たな行動を起こした。
まず、キリトが左手を背に回すと、そこに実体化した2本目の剣の柄を握り、澄みきった音を響かせて抜き放った。深い黄金の刀身を持つ流麗なロングソード、伝説級武器、聖剣エクスキャリバー、ALO最高にして最強の魔剣。
レイがマントの内側から小太刀《蜻蛉》を左手で抜刀、大太刀を背に担いでゆっくりとこちらに歩いてきて、ユウキの前で止まる。
「………ごめん、遅くなった」
「……螢。あ、あのね……」
何かを言おうとしたユウキの口をレイは微笑みながら右手の人指し指でつい、と塞いだ。
「……もう、君から逃げない。また後で会いに行くから……。もう少しだけ、待ってくれ」
「……わかった」
悠久の時を経て再開した2人はそう言って離れた。そのまま前方を塞いでいるプレイヤー達へゆっくりと歩んでいくレイをユウキはまだ何か言いたそうに手を伸ばしかけたが、途中で止める。
「……ユウキ!」
レイが少しだけ振り向いて彼女だけを見詰め、優しく微笑む。
「今、楽しいか?」
「……うん!!」
それにユウキが満面の笑みで答えると、レイは満足そうにして前を向いた。
そして、かつて『紅き死神』と呼ばれた者は言葉を紡ぐ―――
「焔鎧・参式、《紅蓮双牙》」
蜻蛉と蓮華刀紅桜の刀身を重ね合わせると、深紅の炎が吹き荒れた。2本の刀は炎に変わり、やがて1つの形を作り出す。
「あれは……!!」
天と地を突く対なる刃。
長槍より長く、剣より効率良く敵を切り刻むための彼だけの武器―――両刀
「さて………構えろ」
両刀を小脇に抱えたまま前進し、間合いに入った途端それを振るう。
それを盾の上から受けたノームのプレイヤーは盾ごと吹き飛ばされ、壁にぶつかる前にエンドフレイムに変化する。
「な………!?」
その理不尽なまでの威力に後方にいたプレイヤー達に動揺が走る。レイは残りのプレイヤーを一文字に睥睨し、彼らの運命を宣告した。
「退けとは言わない。おとなしく消えろ」
死神による死の舞踏が始まった。
その命を刈ることに貪欲な刃に触れれば如何なる防御も
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