マザーズ・ロザリオ編
転章・約束
瞋恚の紅蓮
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る。大規模ギルド攻略部隊の精鋭達が続々と迷宮区の入口に達し、中へ入っていく。
「今、強襲すれば今日の攻略を断念させるだけの損害を与える事ができますが?」
「だめだ。そーゆーのはレッド共と変わらん」
ならどうしろと言うのか。
「ま、考えはあるさ――………と、来たか」
レイの視線を追って後方を見やると、見知った2人組が飛んできた。
「さて、『死神』はそれらしく悪役にでもなりますか」
紅蓮のマントをひらめかせながら、レイは不敵に笑った。
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壊滅した戦線を離脱後、セーブポイントから再びボス部屋まで舞い戻るまで掛かった時間は作戦会議含め、正味30分。事前に情報収集に力を注いだお陰でアイテム類の損害は無いに等しい。
が、
「遅かった!?」
「いえ、まだ人数が少ないわ。一回は挑戦できそうよ」
「……ほんと?」
ほっとしたような顔を見せるユウキの肩をぽんと叩き、アスナはつかつかと集団へ歩み寄った。全員が真っ直ぐ視線を注いでくるが、彼らの顔に驚きや緊張はない。これから何が起こるか、知っている。
そしてアスナも分かっていた。彼らはここを退いて、アスナ達を通す気は毛頭無い。
実際、交渉は決裂した。
「ね、君」
立ち止まり、アスナが話していたノームが振り返る。話しかけたのはユウキだ。
「つまり、ボクたちがこれ以上どうお願いしても、そこをどいてくれる気はないってことなんだね?」
「――ぶっちゃければ、そういうことだな」
直截なユウキの物言いに、ノームも流石に一度瞬きしたが、すぐに傲慢な態度で頷いた。
するとユウキはにっこりと笑みを浮かべ、短く言った。
「そっか。じゃあ、仕方ないね。戦おう」
「な……なにィ!?」
「ええっ?」
アスナが驚くのも無理はない。先程も明記した通り、大ギルドの構成員にケンカを吹っ掛けると後々面倒な事になるのだ。元々、PKをプレイスタイルとしている者以外は、大ギルド相手に歯向かうことは殆ど出来ないのが実情なのだ。
「ゆ……ユウキ、それは……」
止めようと口を開いたアスナの背中をユウキは笑みを消さないまま、ぽん、と叩く。
「アスナ。ぶつからなきゃ伝わらないことだってあるよ。例えば、自分がどれくらい真剣なのか、とかね。―――ボクは、もうその事で後悔したくない」
「ま、そういうことだな」
軽い調子でジュンが相槌を打つ。振り返ると、他の5人も平然とした態度でそれぞれの武器を握り直している。
「みんな……」
しかし、現実とは無情なもの。後方からの複数の靴音。敵方の援軍だ。ユウキの
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