マザーズ・ロザリオ編
転章・約束
剣士の選択
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うだよ」
「それなら、私より強い人はいっぱいいたと思うんだけどなあ。特に、黒ずくめで片手直剣使いのスプリガンの事とか、憶えてない?」
「あー……うん、憶えてる。確かにあの人も強かった!……でも、ダメかな」
「な……なんで?」
「ボクの秘密に気づいちゃったから」
ユウキは不思議な笑みを浮かべると、それ以上話そうとしなかった。その『秘密』はユウキの突出した強さに関係するものだと思われたが、追及はしなかった。
代わりにアスナは少し気になった事を聞いてみた。
「あのさ、ユウキ。変なこと聞くけど私達って初対面だよね?」
「え、うん。どうして?」
「私、何処かでユウキを見た気がするんだよね。最近じゃなくて、結構前に」
「……気のせいじゃないかな?ボクはアスナを見たことない……あ、もしかしてナンパなの?」
「ち、違うよ〜!」
はぐらかした感じでは無かったので、会ったことは無いのだろうと思うが、それならばこの違和感はいったい………。だからアスナはふと思い付いた《そうかもしれない》心当たりを口にした。
「ねぇ、ユウキ。じゃあさ、私じゃなくて、《けい》って名前に聞き覚……!?」
突如、ユウキが立ち上がってアスナに詰め寄る。「《けい》!?けいって、もしかして『みずきけい』!?」
「……知ってるの?」
「どこ、何処に居るの!?」
何かを渇望するような、今まで見たことのない気迫にアスナは気圧されるばかりだった。
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Side螢
―チチッ……
アミュスフィアの電源を落とし、フラフラと立ち上がると部屋の奥の本棚、その一番上に手を伸ばす。
アインクラッドから帰ってきてから1年。昔は写真が一枚しか無かったその棚は今では多くの写真が飾ってある。それには現実世界のものや仮想世界のもあるが、中に写っている、何よりも大切な仲間達はどれも笑っていた。
「……ごめんな、木綿季」
謝らなければならない。彼女と離れ、彼女の居る世界との離別を選んだにも関わらず、今自分が信じられないほど幸せだということを。彼女が辛い思いをしていた時に助けるべき立場の俺は別の世界で笑っていたことを。
優しいあの子の事だ。そんな事と言って笑うだろう。偽りの笑みで。
「ごめん……」
床に膝を突き、手に持った写真の額縁を握る。
暫くそのままで居ると、突然机の上にある携帯が鳴った。
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「―――と、言うわけで明日奈さんが今夜泊まるそうです」
「よろしく〜」
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